Microsoft Teams :チャネルの作成を促進させるアップデート

Microsoft Teams における運用課題。ここ1年で痛感したのが「実はまだまだ Microsoft Teams の利用定着されていない企業が多い」という実態。良くも悪くもコロナ禍で Microsoft 365 導入企業は否が応でも Microsoft Teams を使わざるを得ない状況になったので、それ以降は昔みたいに利用定着について必死に語るのは「今更…」と思っていたけど、特に中小企業の実態はまだまだでした。
次に利用定着されたとして、それはそれでまだようやくスタートラインに立てたわけですよね。そこからの運用課題も山のように出てくると思います。運用課題の中で多い声の一つが「チームが増えすぎた」「チャネルが増えすぎた」「チームとチャネルの構成が難しい」という課題。これは正直難しいですよね。過去を遡れば SharePoint のサイトコレクションやサブサイトの構成に悩んだ時代があり、ファイルサーバーのフォルダー構成に悩む時代もあったり。自分一人で考えてもどういう構成が良いのかわからなかったり、時と場合で考え方も変わります。それが関わる人が多くなればなるほど何が良いのかわからなくなります。
さて、その中でも「適切なチームがあるからチーム内にチャネルを作れば良いのに、チャネルを作らずに別途チームを作ってしまう」という課題もあります。既定ではチームもチャネルもほとんどのユーザーが自由に作成できるので、その自由さが裏目に出る場合もあります。かと言ってチームもチャネルも一部のユーザーしか作成できなく制限する方法が良いかというとそれも違います。なぜ Microsoft が既定でユーザーにチームやチャネルを自由に作成できる設定にしてあるのか?という事です。
ただ、それでもやはりチャネルを作成するのがふさわしいのに別途チームを作成してしまうという多くのユーザーの行動は Microsoft としても認識していたのか、ユーザーからの多くの声だったのか、とにかく今回紹介するアップデートはその課題を解決させる可能性を模索しているようです。

2023/12/13 付けで Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに以下のメッセージが公開されました。

▼チャンネル作成の促進

やはり冒頭にメッセージとして「ユーザーがチームを作成できるようにする事に重点を置いており」と記載されており、更にチャネルがふさわしい場合でもチームを作成するユーザーがいるので、チームの急増と管理が困難になっているという事です。なのでチャネル作成を促進する方法を検討しているとの事。

じゃ具体的にどんなアップデートがあったのか?実際にアップデートが展開されないとわからないとは思っていましたが、その上で予想していたのは単純なUI(ユーザーインターフェース)の変更かな?と思っていたら当たりました。以前からあるのが、小さなUIの変更で大きなUX(ユーザー体験)の向上を試行錯誤する取り組み。つまり、 Microsoft 内部的にもアップデートのための開発コストをなるべく最小限にしつつ、UXを大幅に向上させられれば良いですよね。徐々に成熟させていくという感じでしょうか。

では、その小さな変更点を見てみたいと思います。

▼チームを新規作成させる「+」をクリックすると、

▼新たに最上部に「チャネルを作成」が加わった

以上。

…。

…。

さすがにこれで記事を終えませんよ(笑) 機能の紹介だけではつまらないので、当ブログでは僕の考えや推測を交えていますが、特にこういう小さなアップデートは「何でそうしたのか?」あたりを深掘りして考えるのが楽しいです。それでは続けます。

▼もちろん以前からの導線、チームの「…」メニュー内にも「チャネルを追加」は存続されています

なので、チャネルを作成するメニュー・導線が加わっただけです。小さなUIの変更ですよね。でもこれがどんな効果があるのか?というと、ユーザーがチームを作ろうとした際にはすでにどんな目的のコミュニケーション・コラボレーションを取りたいのか?は頭にあるからこそ作成しようとするでしょう。そんな時にチームを作成するつもりでチームの「+」をクリックしたら、「チームを作成」よりも上に「チャネルを作成」というメニューが目に入ってくる事で、「まてよ、今やりたい事を考えるとチャネルで作成した方が良いかも!」という『気付き』を与える。そんな導線としてここにチャネル作成のメニューが追加されたというわけです。つまり、ユーザーが新たなトピックでコミュニケーション・コラボレーションを図りたい時に、優先順位として「まずは既存チーム内にチャネルを追加する」を検討する事を定着させれば、この課題は解決されていくのでは?という事ですね。

▼チャネル作成のボックス

このようにまずはふさわしいチームを選択する必要がありますね。

▼チャネルを選択

ここでまずはふさわしいチームが既存で存在するかを確認して、もしふさわしいチームがなければ新規でチームを作成する。という流れは大事な考え方だと思います。UIによってユーザーの考え方を正しく導く。小手先のように思えるかもしれませんが、こういう試行錯誤の積み重ねが大事なんですよね。

▼チームを追加しチャネル名などを追加…

ここで一つ気が付きました。「チャネルの種類を選択する」がずっと既定で標準チャネルが選択された状態だったのが、ここでは未選択状態が既定になっているという事に。もしかしたらこれもユーザーにチャネルにも種類がある事に気付いてもらうための変更かもしれないですね。 Microsoft Teams だけじゃないですが、様々な機能や選択肢があるのに、可視性が低いとユーザーがそれに気が付きにくいので、そもそもそんな機能や選択肢がある事を知らない…という事はよくあります。マニュアルなどがなくても直感的な操作で気付いてもらえるUIも大事ですね。

▼ただし、ここから選べるのは「標準」と「プライベート」のみ!?

あ、そうだった。今検証で使っているユーザーはこのチームのメンバーなので共有チャネルを作成できなかったんですね。ちょっと別のチームでチャネル作成し直します。

▼自分が所有者のチームを選択した際のチャネルの種類

ちゃんと「標準」「プライベート」「共有」が選べるようになりました。ここらへんの動きもここからチャネル作成する時もブレはないですね。

▼これでチャネルを作成します

▼見事に?チャネルが作成されました

という事でチームを作成しようとした際に「チャネルを作成」というメニューが目に入る事で、ユーザーに「ちょっと待てよ、既存のふさわしいチームがあるならチャネルを追加した方が良いのでは?」と検討してもらう気付きを与える変更でした。

■オマケ

▼従来からあるチームの「…」からチャネルを追加する導線

▼ここからでもチャネルの種類の選択の既定は未選択でした

僕はチャネルを最後に追加したのはいつだったかな?忘れちゃった。とにかく以前は既定で「標準」が選択されている状態だったのが、いつしか未選択状態が既定に変更されていますね。たしか先月に何かの検証でチャネルを何個か作ったので、その時点で気が付かないハズはないので、ここ最近の変更だと思います。もしかしたら今回のアップデートとセットで変更されたかもしれないです。確証はありませんが。とにかくどちらも「チャネルを作成する」という気付き、「標準以外のチャネルの種類もある」という気付きをユーザーに促すという意味では共通性のあるアップデートですからね。

知らんけど。(←すべてを台無しにする言葉)