Microsoft 365 はその生い立ちから初心者殺しみたいな複雑なところが良くあります。例えば Microsoft Teams も何も気にせず利用する事はできても、トラブルや潜在的な課題を回避するには裏側の Microsoft 365 グループや SharePoint や OneDrive などとの関連などもIT部門だけじゃなく利用者全員が知っておいた方が良い場合もあったりします。 Microsoft Lists に関してもややこしいのが、「 Microsoft Lists のリストは SharePoint のリストです」という点ですね。 SharePoint 側でリストを作成すると、 Microsoft Lists 側でもそのリストが表示され、中身は同一なのに見た目は違うんですよね。ややこしいです。更にややこしいのが、そうは言っても必ずしも Microsoft Lists 側でリストを作成しても、 SharePoint のサイト側に作成されるわけでもないという事。ここらへんは Microsoft Lists が展開された約2年前に、以下の記事でも多少触れています。
というわけで若干ややこしい Microsoft Lists ですが、大事なのは「どこからどこにリストを作成したのか?」です。それによって削除したアイテムやリストを復元したい時に場所が変わってくるんです。今回はたまたま今朝 Microsoft Lists のごみ箱を見たところからネタを思いついて記事にしてみます。
■ SharePoint 側で作成されたリストのアイテムを削除すると?
▼ SharePoint 側からリストを作成
▼作成したリスト内にアイテムを追加
▼そのアイテムを削除
この場合、どこからアイテムを復元できるのか?
▼リストを作成したサイトのごみ箱から復元できます
ここまでは Microsoft Lists が存在しなかった頃までは予想しやすいところかと思います。リストが属するサイトのごみ箱に移動されます。
じゃ、 Microsoft Lists が存在する今は? SharePoint 側からリストを作成しても、 Microsoft Lists のリストでもありますよね。
▼ Microsoft Lists 側( Microsoft Lists ホーム)にもさっき SharePoint から作成したリストが表示されています
ここからクリックすると、同じリストなのに UI は Microsoft Lists の UI で表示されます。
▼では Microsoft Lists の UI のリストでごみ箱を見たら?
▼同じく削除されたアイテムが表示されていました
さて、では Microsoft Lists の UI からごみ箱を開いたら、このごみ箱はこのリスト専用のごみ箱でしょうか?違うんですよね。試しに所属するサイト内で SharePoint ニュースを作成して削除してみました。その上で、同じく Microsoft Lists の UI からごみ箱を開いてみると、
▼このようにリストのアイテムだけじゃなくニュースも表示されています
つまり、 Microsoft Lists のリストのごみ箱はリストでフィルターがかかっているわけではなく、所属しているサイトのごみ箱を表示しているだけに過ぎません。
なので、サイト内に複数リストがあったりファイルなどが複数削除されている場合は、この中から「元の場所」列を頼りにアイテムを探して復元するという方法になります。なんとなく、そのリストからごみ箱を開いたらそのリストの削除されたアイテムのみが表示されるだろうと思っていたユーザーにとっては混乱しそうですね。
さて、もう一つ混乱するとしたら、 Microsoft Lists のホームです。
▼ここからも「ごみ箱」がありますが、クリックすると、
▼あれ?削除したアイテムが表示されていない
Microsoft Lists のごみ箱なんだから、 リスト内で削除したアイテムはここに表示されていて当たり前だと思いますよね。
これは何故か?納得できるかどうかは別ですが、後でわかると思うので先に進みます。
■ Microsoft Lists 側で「保存先が マイ リスト」で作成されたリストのアイテムを削除すると?
SharePoint のリストでは必ずどこかのサイト内にリストを作成するしか方法がありませんでした。しかし Microsoft Lists ではリストの作成先に「マイ リスト」を指定すると、どの SharePoint サイトにも属さないリストができます。いや、これはあえてウソの言い方をしました。実際はマイ リストを指定してリストを作成すると、自分の個人サイトコレクション内にリストを作成します。ここで詳細は語りませんが、自分の OneDrive と同じ領域ですね。
▼ Microsoft Lists 側から「+新しいリスト」
▼保存先を既定値の「マイ リスト」でリストを作成
▼作成されたリストにアイテムを追加します
▼早速アイテムを削除します
では削除したアイテムを復元したい!となった時に、
▼リストの右上の歯車メニュー内の「ごみ箱」を開きます
▼削除したアイテムが表示されています
これ、この時点では問題なさそうだけど、実はこのアカウントは普段使いしていないアカウントだったので問題が浮き彫りされていなかっただけで、後でこっちはこっちで問題点があるので話します。
一旦戻って Microsoft Lists ホームに戻って、
▼ Microsoft Lists ホームの歯車メニューから「ごみ箱」をクリックすると、
▼あれ?こっちは表示されていました
つまり、 Microsoft Lists ホームからのごみ箱には SharePoint のサイト内に作られたリストのアイテムは表示されず、マイリストに作ったリストのアイテムは表示されるという事です。
さて、ではさっき話した「こっちはこっちで問題点がある」という話ですが、このアカウントは OneDrive を全然使っていなかったので、ちょっと OneDrive に適当にファイルをアップロードし、ファイルを削除してみて使用感を出してみます。
その上で、上と同じようにリストのごみ箱を見てみます。
▼リストのごみ箱、および、 Microsoft Lists ホームのごみ箱
見ての通り、ここに pptx や txt ファイルも表示されています。あきらかにリストのアイテムのデータではないですよね。ここ、実は自分の OneDrive のごみ箱なんですよね。
▼ OneDrive のごみ箱の中身
見ての通り、全く同じ内容でした。これ、少し上で説明した通り、マイリストに保存されたリストは OneDrive と同じ個人サイトコレクション内にあるという事を知らないと、かなり不思議な感じですよね。
■ SharePoint 側で作成されたリスト自体を削除すると?
昔話をしますが、昔はリストのアイテムは復元できたけど、リスト自体は削除すると復元できなかったんですよね。結構昔の話なので忘れてもらってイイです(←じゃ話すなよってツッコミもありそうだけど、昔話もしたい!)。
まずは SharePoint のサイト内で作ったリストを削除してみます。
▼ SharePoint から作成したリストを削除
▼そのサイトのごみ箱を見ると、リスト自体が表示されています
このようにリストのアイテムと同じでサイトのごみ箱に行けば復元できます。
SharePoint のリストであっても Microsoft Lists のリストでもあるわけで、 Microsoft Lists ホームのごみ箱にもリストが入っていると思っちゃいがちだけど、上述の通り、このごみ箱は実質 OneDrive のごみ箱と同じく個人サイトコレクションのごみ箱だから、それ以外のサイトのものは表示されません。
▼ Microsoft Lists ホームの歯車メニュー内の「ごみ箱」を見ても、
▼削除したリストは表示されません
くどいようだけど、ここらへんちょっと混乱しちゃうユーザーがいそう。
■ Microsoft Lists 側で「保存先が マイ リスト」で作成されたリストのアイテムを削除すると?
▼ Microsoft Lists でマイリストに作成したリストの歯車メニューから「リストの設定」
▼リストを削除します
▼この場合は、 Microsoft Lists ホームの歯車メニュー内の「ごみ箱」を見ると
▼リスト自体もごみ箱内にあります
つまり、ここは OneDrive のごみ箱と同じなので、
▼ OneDrive のごみ箱側からも復元ができるというわけです
■まとめ
自分の備忘録用に検証過程も書いてるので長ったらしくなってしまいましたが、結果は、
- Microsoft Lists でマイリストに作成したリスト・アイテムを削除したら、復元したい場合は、
→ Microsoft Lists ホームのごみ箱、リスト自体のごみ箱(アイテムのみ)、 OneDrive のごみ箱 - SharePoint のサイトに作成したリスト・アイテムを削除したら、復元したい場合は、
→リスト自体のごみ箱(アイテムのみ)、SharePoint サイトのごみ箱
という感じですね。「マイリスト」に作成したか否かという点が大きなポイントかと思います。
Microsoft Lists 側でリストを作成する場合は、保存先の既定値が「マイ リスト」になっちゃっていますが、基本的には SharePoint のサイトを指定するのがベストかと思います。例えば自分専用のリストや自分が退職や異動したら使わなくなるような想定のリストであれば、マイリストに保存して他ユーザーと共有するなりしても良いと思いますが、ここらへんの考え方は Microsoft Teams のチャットの添付ファイルと同じ考え方なのかなと思います。