Microsoft Teams で翻訳って聞くとオンライン会議のライブキャプションの自動翻訳機能を連想する人も多いと思います。しかし現在は Teams Premuim ラインセンスを持つユーザーが作成した会議じゃないと利用できなくなっちゃいましたよね。
しかし、会議のライブキャプションの自動翻訳機能が追加される遥か前に、 Microsoft Teams ではメッセージの翻訳機能が 2018年7月あたりに展開されています。
特にグローバル企業だと、多言語でメッセージが飛び交う事があると思うので、英語ならまだしもその他の言語になると翻訳が必要になると思います。その際にイチイチ翻訳サービスやソフトを立ち上げて翻訳させるのは手間だし、そもそも社内情報を翻訳サービスやソフトを通して翻訳させる事はセキュリティ上も問題になるかもしれません。なので Microsoft Teams 内で翻訳機能がある事はありがたいことです。あ、そういえば Microsoft Teams の翻訳機能がそういう観点では安全だという確証をとった事がないので急に不安になってきたけど…まぁ実装されている機能ですからねぇ…大丈夫ですよねぇ…まいくろそふとさん…。
さて、そんなチャットの翻訳機能ですが、アップデートされていました。あ、先に言っておきますが、現時点では「チャット」のみ対象です。チームのチャネルは対象ではありません。
2024/03/20 付けで Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに以下のメッセージが公開されました。
▼ Microsoft Teams: デスクトップのチャットでのインテリジェントなメッセージ翻訳
インテリジェントって言うくらいだから、以前よりも頭が良くなったという事ですが、別に Copilot が絡む話ではないので、ライセンスなどに縛りはなさそうです。
では実際に確認してみます。まず前提として言語設定を日本語にしている日本人という想定です。
■翻訳までの導線が最短になった
▼チャットの英語メッセージ
すでにアップデート前と違う箇所があります。メッセージの上に「翻訳」というテキストリンクがある点。アップデート前まではユーザーが自らこのメッセージは英語だと判断し、「…」メニューから翻訳をクリックしました。2クリックが必要です。
▼アップデート前には「翻訳」リンクは存在せず
これがインテリジェントの一端ですかね。自分の設定している言語とは別の言語の場合はメッセージ上部に「翻訳」リンクを表示させるという点。ワンクリックで翻訳できるのは良いですね。
■便利な「自動翻訳」
また、翻訳したい言語のメッセージがたくさんあると、全て翻訳ボタンをクリックするのはダルいですよね。そういう場合に便利な機能が追加されました。
▼日本語以外のメッセージが続いている状況
しかも一番下のメッセージはドイツ語です。多言語で会話をするグローバル企業の場合はだいたい共通言語として英語でやりとりをするかもしれませんが、 Microsoft Teams であれば、それぞれの得意な第一言語でメッセージを送信すれば良いんですよね。翻訳してくれるんで。こういう他言語のメッセージが続いた場合は、
▼他言語のどれかのメッセージから「自動翻訳を有効にする」をクリックすると、
▼全て自分の第一言語(日本語)に翻訳してくれます
これは便利ですね。翻訳済みのメッセージは上に「aあ」アイコンが表示され、
▼クリックすると翻訳に関する設定メニューが表示されます
▼もちろん「…」メニューから元の言語に戻す事もできます
この設定は一時的なものではなく、またこのグループチャットのみに適用されるわけではありません。
▼別のグループチャットに移動しても英語メッセージは自動的に翻訳されています
このように多言語の人達があつまるグループチャットにおいて、今までは言語に配慮して共通言語の英語でやりとりしているような場合でも、この自動翻訳機能があれば気にせず各メンバーがそれぞれの得意の第一言語でメッセージを送信すれば良くなりますね。特に英語がそこまで得意ではないメンバーは英語に翻訳するのに無駄な時間を使っていたけど、それがなくなります。翻訳の精度もだいぶ向上してきているので良いですね。とはいえ翻訳が微妙な時もまだまだあるので翻訳精度が影響した認識齟齬は出てくるでしょうけど。
■自動翻訳設定をしても、得意な言語は自動翻訳の対象外にしたい
例えば第一言語は日本語だけど、日本語と同じくらい英語も話せる人もいるでしょう。そういう場合は自動翻訳してしまうと、自動翻訳された日本語を読む方がかえってストレスになりかねないですよね。そういう場合は特定の言語は自動翻訳の対象外に設定する事も可能です。
▼あらためてこの画面
これは上の2つは英語、一番下はドイツ語を自動翻訳した状態です。この状態でドイツ語はわからないから自動翻訳を継続させたいけど、英語は得意なので英語は自動翻訳の対象外にしたいとします。
これちょっとややこしいんだけど、今までの流れのままその設定をするには、
▼「aあ」アイコンをクリックし、「設定」をクリック、
もしくは Microsoft Teams の設定画面の「表示とアクセシビリティ」カテゴリーからアクセスもできますが、
▼翻訳の設定
さっきの「自動翻訳を有効にする」をクリックすると、この真ん中の項目が「すべてのメッセージを自動翻訳」に切り替わるわけです。この状態で英語を対象外にしたい場合は、一番下の項目ですね。
▼この項目
この下に「日本語」ってボタンがあるけど、これクリックしてみるとわかるけど、クリックできるのにクリックしても何も起きないんですよね。これ不思議だったんだけど、更に英語を追加したみたら意味がわかりました。
▼更に英語を追加してみると、
▼こうやって下のボタンのところに対象外の言語が追加されるんです
そして日本語はそもそも上の「メッセージをこの言語に翻訳する」項目で「日本語」になっているので、対象外が固定されているというわけなのでクリックできるけど何もアクションがないんです。その他の対象外に選択した言語は「英語×」と×をクリックすれば対象外からまた削除する事ができるというわけですね。操作してみないとわかりにくいUIになっています。
とにかくここで英語も対象外にしたら、
▼え~…
翻訳されたままじゃん…。これは想定外の挙動でした。この状態でまた他ユーザーが英語のメッセージを送信してきたとします。
▼すると翻訳されません
そして良く見ると新規の英語メッセージには上に「翻訳」ボタンがありません。これは英語を翻訳対象外に設定しているからですね。
つまり、自動翻訳を有効に設定した後に、特定言語を対象外に設定した場合は、対象外にした後に送信されてきたメッセージに関しては翻訳対象外になるけど、対象外に設定する前に自動翻訳されてしまったメッセージが元の言語に戻るわけではないようです。
試しに、
▼元に戻らなかった翻訳された英語メッセージは「元のメッセージを表示する」をクリックすれば、
▼戻ります
戻りますが、その下の英語メッセージは翻訳されたままなので、やはり対象外の設定する前に自動翻訳されてしまったメッセージは1つ1つ手作業で戻さないといけなさそうです。ちょっとダルいですね。
ちょっと触ってみた限りでもなんかイマイチよくわからないところもありますが、多言語で会話をするチャットの場合は、気にせずそれぞれの第一言語でメッセージをするようにして、この自動翻訳の機能を使ってみても良いかもしれませんね。
あと、チャットだけじゃなくてチームのチャネルでも対応してほしいですね。僕は色々なところで「チャットよりチームの方が適している場合がある」と、チャットよりチームの利用を促していますが、残念ながら昔からメッセージの機能に関してはチャットの方が多機能だし先行して機能追加されるのはチャットの方なんですよね。チームのチャネルの方も同じタイミングでできれば機能追加してもらって、チャットもチャネルも遜色なくしてほしいです。
ただ、多言語で会話をする機会がない人も多いでしょうから、そもそも翻訳機能は刺さる人と刺さらない人がいますよね。