Microsoft Copilot :あれもこれも「 Copilot 」なので注意が必要

色々と注目されている Microsoft の Copilot 。だけど一言「 Copilot 」と言ってもすでに Microsoft 内の色々な製品、サービス、レイヤーに Copilot が入っているので、複数人で話をする時や誰かの前で話しをする時は「何の Copilot なのか」を明示しないと話が噛み合わなくなりそうです。

そういえば先日以下のように X でポストしたら、たいしてインプレッションもないポストなのに Microsoft 365 本家のアカウントから返信がありました。

▼僕の Copilot 関するポスト

で、僕のポストを見てください。 Microsoft 365 の文脈で Copilot の話をするだけでも現状は要注意なんですよね。[ It’s true. ] と本家が返信してくれたのでポストの内容は正しかったと安心できたけどビックリしました。

その内容は…名称の変遷を書いています。

Bing Chat → Copilot
Bing Chat Enterprise → Copilot
Business Chat → Microsoft 365 Chat → Copilot

個人向けで無料で利用できる 旧 Bing Chat は今は「 Copilot 」です。商用版 Microsoft 365 のアカウントで利用できる商用データ保護されている 旧 Bing Chat Enterprise も今は「 Copilot 」です。そして、それとは別に Copilot for Microsoft 365 で利用できるのは、当時の発表では Business Chat と呼ばれ、その後 Microsoft 365 Chat と呼ばれましたが、今は「 Copilot 」です(こちら僕の観測している限りは名称変更に関して大きくアナウンスされておらず、シレっと変更された認識です。また現在も Microsoft のサイト内でも「 Microsoft 365 Chat 」のままになっているところも残っています)。これら全然違うんですけどね。でも全て「 Copilot 」になったんです。

実は「わかりづらいよね」という意図を含んだポストですが、 Microsoft 365 本家アカウントが返信してくれたので、それはここだけの話(笑)

これら Copilot を見比べてみましょうかね。

Copilot へのアクセス方法は基本的にどれも同じで、それぞれのアカウントでサインインした状態のブラウザーで Microsoft Bing にアクセスし、上部の「 Copilot 」のリンクをクリックします。

▼ Microsoft Bing へアクセスし、上部「 Copilot 」をクリック

また、ブラウザーは Microsoft Edge を利用し、サイドバーでも Copilot を開いておきます。

ちなみに何もサインインしていない状態で Copilot を利用しようとすると、

▼このようにサインインしていなくても利用できそうだけど、

▼実際使ってみるとサインインを促されます

つまり実質サインインしないと使えない状態です。

■ Copilot (旧 Bing Chat )

▼ Copilot (旧 Bing Chat )

まず ChatGPT の Microsoft 版という感じで無料で利用できる個人向けの Copilot が旧 Bing Chat です。同じく無料で利用できる Microsoft アカウントでサインインしている状態です。商用データ保護(プロンプトや回答を Microsoft が学習などで利用する事がない事)されていないので、業務で利用はしない方が良いヤツですね。プロンプト(指示)の例を見ても仕事とは関係なさそうな例が表示されていますね。出た当時は「 Bing Chat 」という記載があったけど、今は「 Copilot 」と書かれています。

■ Copilot (旧 Bing Chat Enterprise )

▼ Copilot (旧 Bing Chat Enterprise )

こちらはその後出てきた Microsoft 365 アカウント(使えないプランもあるけど)で利用できる商用データ保護版の Copilot が旧 Bing Chat Enterprise です。以前は「 Bing Chat Enterprise 」と記載されていたけど、今は「 Copilot 」なので上の Copilot と見分けがあまりつかないですよね。良く見ると、右上に「保護済み」と書いてあったり、プロンプトを入力するエリアの上にも「このチャットでは、個人と会社のデータが保護されています」という記載があります。これが目印です。これが記載されていない状態だと上の旧 Bing Chat の Copilot なので、業務のデータを利用する前に目印を確認する事が大事ですね。プロンプトの例を見ても、こっちはより業務っぽい内容になっています。

■ Copilot (旧 Microsoft 365 Chat )

こちらはまず Microsoft Bing 経由じゃないアクセス方法で確認してみます。

▼ Copilot (旧 Microsoft 365 Chat )

Copilot for Microsoft 365 のライセンスが付与されているユーザーが Microsoft 365 にサインインすると、サイドバーに「 Copilot 」というアイコンがあります。僕の怪しい記憶ですが、ここも以前は「 M365 Chat 」みたいな名称だった気がします。そこをクリックするとこの画面が表示されます。やはり名前は「 Copilot 」ですが、今まではその下の説明が「あなたの日常的な AI アシスタント」と記載されていましたが、こちらは「 Microsoft 365 用」という記載です。そして「保護済み」の記載が逆にないです。これは保護されていないわけじゃないですよ。ただ Microsoft 365 の中で利用しているので保護されているのは当然だから記載が省かれているんだと思います。プロンプトの例を見ても業務っぽい内容は同様ですが、更に社内データを利用するような内容が例になっているのがわかると思います。こっちの Copilot の最大の特徴は Microsoft 365 内の社内データを基に回答や作業してくれる点ですからね。

さて、ややこしいのが Copilot for Microsoft 365 の場合、「 Copilot (旧 Microsoft 365 Chat )」とは別に Microsoft 365 ライセンスのみで利用できる「 Copilot (旧 Bing Chat Enterprise )」も利用できるんです。つまり2番目の Copilot と3番目の Copilot の2つの Copilot を利用できるという事。

それではこのアカウントで Microsoft Bing 経由で Copilot にアクセスしてみます。

▼ Copilot for Microsoft 365 ユーザーが Microsoft Bing 経由で Copilot にアクセスしたところ

さぁ、ややこしいですね。こちらは Copilot の表記の下に「仕事向け Copilot 」と記載されています。「保護済み」の記載もないです。プロンプトの例を見ても社内データを活用する例が記載されています。つまり「 Microsoft 365 用」という記載じゃないけどこれは Copilot (旧 Microsoft 365 Chat )のようですね。ただ Microsoft 365 内のアプリバーの Copilot アイコンからアクセスした画面との違いは上部にあります。

▼「職場」「Web」のトグルスイッチ

▼サイドバーも同じトグルスイッチ

そうなんです。ここで同じ Copilot でも「職場(旧 Microsoft 365 Chat )」と「Web(旧 Bing Chat Enterprise )」が切り替えられるんです。ややこしい。切り替えてみると、

▼「Web」に切り替えたところ

このように「Web」に切り替えると旧 Bing Chat Enterprise の Copilot に切り替わるわけです。こんなの何も知らない Microsoft 365 ユーザーからしたらわけわからないですよね。またこれを説明するのも大変。

次に疑問に思うとしたら「職場」と「Web」で何が違うの?という点ですよね。これまでの歴史を知っている人からすればわかると思いますが。

これは実際に職場とWebで同じプロンプトを使ってみるとわかりやすいです。今回は「 SharePoint について概要を教えてください。」とお願いしてみました。

▼「職場」での回答

▼「Web」での回答

全然違いますよね。これ良く見ると「職場」の方は回答の下のリファレンス部分で「 SharePointとは」という Word のファイルを参考にしているという事がわかります。これは僕の OneDrive for Business に保存されているファイルです。つまり Microsoft 365 の自分のアクセス権のある範囲のデータを参考にしているというわけです。一方「Web」の方はその名の通り、インターネット上の情報を参考にしています。回答の下の詳細情報に色々なサイトが表示されています。そこから参考に回答を出したわけです。

なので、主に社内のデータを利用して回答してほしい場合は「職場」だろうし、逆に社内じゃなくインターネット上のデータを基に回答してほしい場合は「Web」という感じで使い分けすると良さそうですね。

ただ、「職場(旧 Microsoft 365 Chat )」の Copilot は社内データしか利用しないわけじゃなく、Webの情報も利用するので、

▼「職場」でもWebの情報も利用できる

しかし、良く見ると同じWebの情報を利用していても回答が違っていて、ちょっと触った限りWebの情報を基にするなら「職場」よりも「Web」の方が手厚い回答です。

例えばこんな質問をしてみました。

▼「Web」での回答

▼「職場」の回答

なので、やはり使い分けとしてザックリと社内データを基にしたいなら「職場」で、インターネット上のデータを基にしたいなら「Web」でしょうね。名前のままです。また、「職場(旧 Microsoft 365 Chat )」の Copilot でWeb上のデータを基に回答する場合は、別の意味での注意点もあったりするのですが、それは本記事の主旨ではないのでまた別の機会にどこかで。


という事で、元々別の名前でデビューしたけど名称変更して最終的に全て「 Copilot 」になった3つを並べてみました。最低限気を付けたいところは、仕事で利用する際に、旧 Bing Chat 系で「保護済み」の表記の有無ですかね。