SharePoint 投稿者向け:カラフルにすれば良いってもんじゃない

SharePointに限らずですが、社内の情報共有の場で情報発信をする立場の人は、自分が発信した情報が受信者に読まれ、理解され、活用されているかは気になるところですよね。その中から今回「読みやすさ」について考えたいと思います。まずは今まで自分が投稿してきた投稿物を思い出してみてください。以下のような事をしていませんですか?

  • ページスクロールを抑えたいために文字サイズを小さくした。
  • 文章内に太字・斜体・下線などの装飾をふんだんにしていた。
  • 文字色をカラフルにした。

これらは一例ですが、心当たりがある場合は、以下を読んで何かしら気付きになっていただければ幸いです。(一概に悪い例という事ではありません。)

人に読んでもらえる記事を書くヒントはネット上にたくさんあります。大手ニュースサイトを「読みやすさ」という観点で読み漁ってみてください。概ねこういう傾向がある事に気がつくと思います。

  • 文字サイズは実は大きめ。
  • 行間や段落間が結構広い。
  • テキストエリアの横幅はそんなに広くない。
  • 文字に装飾(太字、斜体、下線、など)がない。
  • 文字色はほぼ1色。
  • 背景色と文字色のコントラストがとれている。(だいたい白背景に黒字)
  • 文章中のテキストリンクはリンクだと視認できる。または文章中にはテキストリンクを配置せず、文章下にリンクがある。

今までご自身が投稿してきたアイテムの内容と比べてみてどうでしょうか?結構、間逆な事をしているのではと思います。

以下は、この記事の文章に超テキトーに色々装飾を施してみたアイテムのスクリーンショットです。

黄色や薄い水色などの文字は読みづらいですね。緑のマーカーに赤字の部分はチカチカしますよね。重要な箇所に色々な装飾を施したとしても、結局重要箇所が多すぎて読む際に散漫になってしまいます。これは、以前テレビ番組でやっていたのですが、東大生が受験勉強をしていた頃の勉強方法の中で、「ノートの板書はカラフルにしない」「参考書にマーカーは引かない」などがありましたが、その理由と似ているのではと思います。また、Webの世界では未だに「下線の青文字はリンク」という印象があるので、リンクでないテキストに青文字で下線を装飾にすると、閲覧者がクリックしようとしてしまい「リンクじゃないんかい!」と心の中で突っ込みを入れつつストレスフルな文章になってしまいます。また、逆にこんなにカラフルにしていると、中にテキストリンクをつけても、ほとんどの閲覧者はそのリンクの存在に気がつきません。実はこの中で一箇所テキストリンクがあるんですが、視認できますでしょうか?SharePointのテキストリンクは、リンク色はサイトのテーマによって変わりますし、マウスホバー時に下線が現れますが、文章を読んでいるときに全文をマウスのカーソルを当てながら読む閲覧者はあまりいません。つまりテキストリンクが視認できない場合、リンク先のコンテンツはほとんど閲覧されない事になってしまいます。リッチテキストエディタ内に他コンテンツにリンクをつける場合は、リンクと視認できるかどうかを特に意識した方が良いです。

と、ツラツラと書いてみましたがいかがでしょうか?ちなみに過去の経験上、結構こういうコンテンツはありました。

大手ニュースサイトに共通している特徴はそれなりに根拠があっての特徴なので、自分なりに昇華してみて、ぜひ今後作成するコンテンツに試みてはいかがでしょうか。また、SharePoint運営者やサイト管理者の立場の場合は、読まれるコンテンツ作りの重要性とそのコツなどを投稿者向けに教育をしてみる事を検討してみてはいかがでしょうか。

SharePoint の利活用促進を本気で考えるなら閲覧者投稿者レベルでの教育が必要(だと思う)

※今回の記事は長文です。

サーバー管理者レベルでの参考書や無料セミナーなどはよくありますが、閲覧・投稿者レベルでのそれはほとんどないと思います。マイクロソフトからエンドユーザー基本操作マニュアルなるものもダウンロードできますが、あれもサイト管理者レベルなのかなと思います。(探せていないだけ?)

つまり、サーバー構築からアプリ(リスト・ライブラリなど)の作成・設定レベルはすぐに勉強できるけど、投稿方法や閲覧方法などは使いながら覚えて!的な感じです。しかしながら、SharePoint は直感的に全ての操作を把握するにはほど遠いUIでして、SharePoint に詳しい人には常識的な操作であっても、利活用の主役である閲覧・投稿者にとっては直感的に操作をするには厳しい部分もあります。

運営に長年携わっていて多かったユーザーに知られにくい機能の一例

  • ビュー内で列でソートやフィルターができる事。
    (例えばマウスオーバーしないと列名の横に「▼」が出ないなど、直感的には機能に気がつかないUI)
  • 個人ビューの存在
  • 通知機能

これを教えるだけでもSharePoint の印象が大きく変わるであろう機能も、意外と教えないと存在すら気がつかないまま何年もSharePoint を利用しているユーザーは少なくはありません。

ただ、これらSharePoint の機能紹介的な教育よりも大事であると思う事があります。

情報共有とは情報発信だけでは意味がなく、発信された情報が受信され活用されて意味を成します。つまり、発信した情報が読まれなければ意味がありません。言い換えると、投稿者は可読性を意識する事がポイントかと思います。

サーバー管理者やサイト管理者がいくらUIを気にしてデザインのカスタマイズをしたところでそれはあくまでも枠の部分。そこより大事なのは枠の中身です。その中身を作るのは投稿者。その教育が必要だとは思いませんか?
軽く例を挙げると…

  • 背景と文字とのコントラスト
  • 文章をカラフルにすれば良いというものではない
  • フォントサイズと行間の重要性
  • テキストリンクが装飾に埋もれてリンクと気づかれずクリックされない

などなど。実際アイテムの中身を見ると、受験生のようにテキストをカラフルにして、白背景に黄色文字を使ってチカチカしたり、リンク色と同じ色をつけているテキストがあって、クリックできるのかと思ったらクリックできなかったりイラっとするものもあったりします。思ってもいないような使い方をするんですよね。これはSharePoint に限らずプレゼン資料など人に見せる資料を作成する人全員に必要な教育でもあるんですけどね。

また、Webのマナーなども重要です。
例を挙げると…

  • 引用についてのマナー
  • 著作権について

こういう部分も閉ざされた空間だからといって自由であるわけではなく、社内のモラル・マナー向上においても教育は大事だと思います。

ちなみにこの記事を読んでこれらを常識だと思われている人は、すでに自身のスキルや知識に悪い意味で侵されています。非IT企業はもちろん、IT企業であっても必ずしも全従業員がITリテラシーやモラルが高いとは断定できません(従業員を信じたいですけどね。)。

また、なんでも「○○は禁止」といったネガティブな教育をすると利活用促進とは間逆の結果になりがちです。「○○はこうした方が良いですよ」的なポジティブな教育が必要ですね。利用したい・便利だと思わせる事が重要なので。

「教育」というと大きな話に聞こえてきますが、それこそSharePoint のブログ機能やSNS機能を利用して発信しても良いかなと思います。ディスカッション掲示板を利用してユーザー間で解決させる仕組みを作るのもアリかと思います。

サイトコレクションおよびサイトを管理者に渡して「はい、ご自由に」というやり方で運営をしていて、利活用されなくて困っている企業のIT管理者がいらしたら、運営・教育の重要性を少しでも感じていただければと思います。