
いやぁ、完全にすでに記事にしていたと勘違いしていました。大事かつインパクトのあるアップデート。色んなところでアウトプットをしているので、どこで何を話した・書いたのか忘れちゃいます。
※元に戻す方法も紹介しますが、先に紹介してしまうとこのアップデートのネガティブな要素のみ把握したまま元に戻されてしまうのは僕の本意ではないので、最後の方で紹介します。
すでに一般提供は完了しているので、多くの人が戸惑っているかと思います。 Microsoft Teams を起動すると、このアップデートが展開されたタイミングで以下のダイアログボックスが登場するでしょう。
▼「新しいチャット、チーム、チャネルのエクスペリエンスへようこそ

このアップデートは対象指定リリース環境では去年2024年11月あたりに展開されはじめ、当初はこのボックス内に「やめとく」みたいなボタンも並列されていたけど、上のスクショは昨日久しぶりに Microsoft Teams を開いたユーザーに表示されたんですけど、もう「出発進行」の一択でした。これは後で紹介するメッセージセンターのメッセージ内にも記載されているけど、何度かキャンセルするオプション(ボタン)があるけど、最終的には新しいエクスペリエンスになるようです。なので多くのユーザーはこのアップデートが一旦は強制的に適用されるという事でしょう。これは事前に社内などでアナウンスがないと戸惑う人も多いでしょうね。
Microsoft Teams ではメッセージでコミュニケーション・コラボレーションをするには「チャット」と「チーム」があり、それが Microsoft Teams が登場した6年前当初からよく意味がわからなかったり使い分けがわからないなどの混乱の元でもありました。そこら辺の経緯やどうすべきか?あたりの話は他で散々してきたのでここでは割愛するとして、とにかく「メッセージでの会話」という意味ではチャットもチーム(チャネル)も同じなので、その体験を合理化しようという取り組みのようです。
2024/10/28 付けで Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに、以下のメッセージが公開されました。
▼(更新済み)Microsoft Teams: 合理化された新しいチャットとチャネルのエクスペリエンス






いつになくメッセージが長文になっていますが、それだけUX(ユーザー体験)に大きなインパクトを与えるアップデートであるという事と、それが故に一般提供前の対象指定リリースでの展開からユーザーからのフィードバックを反映させる形で大きな議論も社内外であったであろうことから、リリースのタイミングなどの説明が冒頭の方でかなり更新されて追記されています。
内容としては本記事のタイトルの通りで、 Microsoft Teams の左にあるアプリバー内の「チャット」と「チーム」が「チャット」に統合されたというのが簡単な説明です。ただしUI上の統合であって裏側の仕組みは変わらずチームとチャットが別々で存在します(ややこしい)。これまでは同じテキストのコミュニケーションなのにチャットとチームに分かれていたから、「えっと…あの話はチャットだったからチームじゃなくてチャットの方に移動して探さなきゃ…」みたいな感じでコンテキストを切り替える必要がありました。「コンテキストを切り替える」という言葉は上のメッセージセンターのメッセージにも記載されていたけど、つまりあっちからこっちに探して移動している間に人間の中で思考が分断されてしまうのが良くないという事で、持続的なコミュニケーションをとることにおいて、いかにコンテキストの切り替えを最小限にするか?が大事なポイントのようです。
一方で、もう「チャット」「チーム」を分ける事に慣れた人、明確にチャットとチームを使い分けている人はあえてコンテキストを切り替えたい場合もあるでしょう。例えば、チームは完全に業務上のコミュニケーションでチャットは「ランチどうする?」などの業務以外のコミュニケーションとして使い分けている場合、完全に仕事集中モードにしたい場合はチャットはあえて見ずにチームのみを見て休憩時間にチャットに切り替えて読む…みたいな運用を心がけている場合など。そういう場合、それが統合されてしまったらあえて切り替えをしていた事ができなくなる。また、所属するチャットやチームが多い忙しい人の場合は、ただでさえチャットもチームもズラっと並んでいたのが、統合されてしまった事で更にズラっと並んでしまうだけで辟易としてしまうでしょう。
そういう意味でもこのアップデートの印象は人によってバラバラでしょう。ただ、だからこそこのアップデートは「選択できる」という点が大事なポイントだと思います。一度は強制的に新しいエクスペリエンスを体験してみてくださいという流れになっていますが、食わず嫌いはやめてとりあえず体験してみてください!という意図だと思うし、とりあえず体験した後にやはり自分には合わないと思ったら元に戻せば良いだけです。これだけUXにインパクトを与えるアップデートが元に戻せなかったら文句の100個も言いたくなるでしょうけど、元に戻せるなら何も問題ないですよね。むしろそれで喜ぶ人がいるのであれば悪い事じゃないです。これ以前もチャネルの時系列を上下反転させるアップデートの時も似ていると思っていて、あのアップデートも結局はユーザーが設定からいつでも自由に変更できるように今もなっているので、おそらくこの新しいエクスペリエンスも当面はユーザーが自由に選択できる状態が続くと思います。あ、予想がハズレたらごめんなさい。
あ、あと、僕は数か月前からずっと新しいエクスペリエンスの方で使っているけど、ネガティブに思う一面に関しては実はそうでもないんじゃ?あえてコンテキストを切り替えたい人はこの機能を使えばイイんじゃない?という点もあるので、そこらへんも紹介していきたいと思います。
では試してみます。試すのはブラウザー版です。
■従来のエクスペリエンスの確認
まず従来は、
▼「チャット」はチャットが表示され、

▼「チーム」はチームが表示されます

■新しいエクスペリエンス
では、新しいエクスペリエンスになってチャットとチームが統合されると?
▼「チャット」にチャットとチーム(チャネル)がズラーっと…

という感じで、説明するには割とシンプルに「チャットとチームが統合されて『チャット』になった」という感じです。
以上です…と記事を終わらせてしまっては良くないですね。ここからは更に試していきたいとおもいます。
■新しく追加された「セクション」で使う
従来のエクスペリエンスでは「ピン留め」「固定」と言っていた機能が、このアップデートを機に「お気に入り」という名前に変わっており、更に「セクション」というまとめる機能が追加されています。イメージ的にはセクションというまとめる機能があり、既定で「お気に入り」セクションが存在していて、従来のエクスペリエンスで「ピン留め・固定」をしたチャットやチャネルが、新しいエクスペリエンスでは自動的に「お気に入り」になっています。
▼「お気に入り」

「お気に入り」にはこのユーザーがこれまでピン留め・固定していたチャットやチャネルが入っています。その名の通り、優先順位の高いチャット・チャネルを上位に表示させる事ができます。従来と同様にチャットやチーム内では並び順をドラッグ&ドロップで移動させる事はできませんが、「お気に入り」の中ではドラッグ&ドロップで移動させる事も可能です。
▼「お気に入り」内でドラッグ&ドロップで移動

チャットやチャネル関係なく優先順位を付けられるのは良いですね。ただパッと見はこの中だけだとチャットなのか?チャネルなのか?の識別はできなそうです。
さて、「お気に入り」はあくまでも既定で用意されてるセクションという位置付けなので、
▼「お気に入り」自体を右の…から「セクション名の変更」で、

あ、関係ないけどセクション内の並べ替えはドラッグ&ドロップできる「カスタム」が既定だけど、他にも「新しい順」「未読のみ」なんてのもありますね。
▼このように

▼変更する事もできます

なので「お気に入り」は既定で用意されたセクションの1つというわけです。
そしてセクションを増やしたい場合は、
▼ここから「新しいセクション」をクリックし、

▼例えばこういうセクションを作れば、

▼新しいセクションが追加され、

▼このように分類する事もできます

▼セクション自体もドラッグ&ドロップで入れ替えができます

場合によってはこのようにセクションを活用して整理していくと良いとは思いますが、あまり細かくやってしまうと管理が面倒になるかもしれないですね。実は僕はここ数か月使っていてセクションは既定の「お気に入り」から増やしていません。最初ちょっと増やしたけど結局面倒になって戻しました。ここらへんうまく活用するかどうかは個々人の性格に左右されるかもしれないですね。
■新しいエクスペリエンスでキモになるのはフィルターかも?
※正直、僕もコレがなかったら新しいエクスペリエンスをそっと従来のエクスペリエンスに戻していたかもしれません。
さて、新しいエクスペリエンスはセクションも含めてチャットやチーム(チャネル)がズラっと並ぶので辟易としてしまう方もいると思います。これらは折りたためるので、
▼折りたたんだ状態

こうするとシンプルに見えますけどこれじゃ意味がないので展開させるとスクロールが延々と続いてしまう状態に…。これを解消する方法はないか?新しいエクスペリエンスでもあえてコンテキストを切り替えたい!チャネルとチャットは切り替えたい!という場合に、僕が数か月使っていてオススメしたいのがフィルターです。
▼このカプセルみたいなボタン

これ従来のエクスペリエンスから存在はしていましたが、僕はほとんど使っていませんでした。しかし、新しいエクスペリエンスにしてから活きる機能なのか凄く便利だと思うんです。チャネルだけ表示させたいなら、
▼チャネルのみ

チャットだけ表示させたいなら、
▼チャットのみ

▼会議チャットのみ

フィルターをかければ結局切り替えているようなものです。しかもショートカットキーまで割り当てられているので、ショートカットキー好きな人はうれしいですね。なので結果的にはこのフィルターを使えば従来のエクスペリエンスの左のアプリバーの「チャット」「チーム」の切り替えの代替になるんじゃないかと思います。
またこれに「未読」フィルターを組み合わせると良いですね。これ実際に触らないと気が付かない人も多いんですが、未読以外の「チャネル」「チャット」「会議チャット」は複数選択はできません。でも「未読」は他のフィルターと組み合わせられます。
▼チャネルの未読のみ表示

▼チャットの未読のみ表示

▼会議チャットの未読のみ表示

こうやって組み合わせる事で、特に忙しい人にとっては未読だけに絞りたいという場合には有効かと思います。
このようにすべてをズラっと表示された状態だと新しいエクスペリエンスは嫌われがちですが、フィルターをしっかり利用する事でネガティブ要素はなくなるかもしれないです。いかがでしょうか?
■新しいエクスペリエンスはチャットのメッセージのプレビューが非表示になる
新しいエクスペリエンスで残念に感じるかもしれないポイントの一つにチャットのプレビューが非表示になるという事があります。メッセージのプレビューというのは従来のエクスペリエンスで見てみると、
▼メッセージのプレビュー

左のチャット一覧のところに各チャットの最新のメッセージの一部が表示される事です。これはチャットだけの機能でチャネルにはありませんけどね。
これが新しいエクスペリエンスが適用されると、
▼新しいエクスペリエンスではメッセージのプレビューは表示されない

チャットもメッセージのプレビューは表示されていません。これはおそらく統合されると多くの人がチャットやチャネルがズラっと並ぶので、縦幅を最小限にする意図もあって非表示が既定になったんだと思います。しかし、メッセージのプレビューを重宝していた人にとっては残念でしょう。
でも、これは設定で後から表示に変更できるのでご安心ください。
▼「設定」の「チャットとチャネル」の「チャットとチャネルの一覧」

新しいエクスペリエンスが適用されると、この「チャネルのチャットとチーム名のメッセージプレビューを表示します」がオフになっていると思います。
▼それをオンにすれば、

▼チャットのメッセージプレビューが表示された

もちろんそれにより更に縦長になってしまいますが。そしてチャットはメッセージプレビューが表示されるけど、セクションに入っているチャネルに関してはチャネル名の下にチーム名が表示されるようになりましたね。ここにチャネルのメッセージプレビューも表示されれば良いんですけど難しいんですかね。
■従来のエクスペリエンスに戻す方法
実はもう少し上のスクショに答えが出ていますけど、新しいエクスペリエンスに強制的に切り替わったとして、色々触ってみたけどやっぱり従来のエクスペリエンスが良いという人は、
▼「設定」の「チャットとチャネル」の「チャット、チーム、チャネルの表示」

ここで「区切る」を選びましょう。
▼すると従来のエクスペリエンスに戻ります

ただし、この状態でもセクションは利用できます。
▼従来のエクスペリエンスでもセクションは利用可能

という事でザっと触ってみました。Microsoft の Microsoft Teams 製品チームがどのような構想でどのような計画でこういうアップデートをしているかは明確ではありませんが、これは僕の憶測ですが、意図としては「メッセージでのコミュニケーション」という観点ではもっとシンプルにしていきたいという意図があると思います。その意図の裏側には長い間ユーザーから寄せられたフィードバックによるものでしょう。そういう意味でも皆さんもいちユーザーとしてフィードバックをするという事が大事かと思います。そしてこのアップデートは今後の構想の第一歩くらいだと思います。今後もユーザーの声を聞きつつ変化していくのではと思います。その際に、ユーザーの心理としては不満がある一方で現状維持バイアスもあって変化も嫌がります。つまり何をやっても不満が出るでしょう。それがワールドワイドで利用者の桁が違うので。そういう中で常に進化しつつ落としどころを模索していくんでしょうね。コロコロ変わる事もネガティブポイントではありますが、そもそも世の中自体が常に変化する予測不能な状態なので、ITツールのみならず変化に柔軟に対応できる能力が必要なのかもしれないですね。
ただ、ユーザー体験を揃えて使いやすくしたところで、結局「チーム(チャネル)」「チャット」の仕組みはそのままです。つまり結局はそれらの裏側の仕様や振る舞いをユーザーも把握して使い分けなければいけません。よくある「チャットの添付ファイルは添付したユーザーが退職したら…問題」あたり。しかし、ユーザー体験を揃えてしまうと、更に境界線が曖昧になってしまう可能性がある点は気を付けたいところですね。今後いったいどうなるんでしょうね。