2023/11/15 付けで公開されている以下の Microsoft からの記事で、 Microsoft Loop が一般提供開始されるアナウンスがありました。
Microsoft Loop: built for the new way of work, generally available to Microsoft 365 work accounts
https://techcommunity.microsoft.com/t5/microsoft-365-blog/microsoft-loop-built-for-the-new-way-of-work-generally-available/ba-p/3982247
この情報を元にあとは実環境で確認していきます。
まず Microsoft Store で検索すると Microsoft Loop アプリはすでにダウンロードできます。
▼ Microsoft Store で検索したところ
僕はすでにインストールしているので「インストール済み」になっていますが、入れていない人はここから入れてみてください。
▼以前はアプリを開くと左上に「プレビュー」が表示されていました
▼一般提供開始されたので今は「プレビュー」は消えています
また、起動時にアナウンスのボックスが表示されますね。
▼「新機能」というボックス
中身は英語ですが、冒頭に「 General availability 」って表示されていますね。あ、そうそう、当ブログの読者は幅広い層なので一応説明しておくと、おそらくSNSなどでも界隈の識者の人達がよく一般提供された事を「GAされた」って表現を使っていますが、これはこの「 General availability 」の頭文字を取って「GA」って使っているんです。
とにかく「プレビュー」表記が外れたので一般提供開始ですね。パブリックプレビュー期間中は管理者が有効化しないとサインインしても使えませんでした。
▼パブリックプレビュー中にはこんな画面が表示された人もいるかと思います
しかし、一般提供開始されているので、もうこのような表示されなく利用できると思います(ライセンス次第ですけど)。
Microsoft Loop はブラウザーでも利用できます。僕の対象指定リリース環境では、 Microsoft 365 ホームの「すべてのアプリ」の一覧の中に Microsoft Loop へのリンクがあります。
▼「 Loop 」へのリンク
ただ、標準リリース環境ではここに Microsoft Loop が表示されている事はまだ確認できていません。じゃ標準リリース環境ではブラウザーで利用できないのか?というと違います。直接以下のURLにアクセスしてみてください。
標準リリース環境のユーザーでもブラウザーからも Microsoft Loop が利用できると思います。
▼ Microsoft Loop のページが表示された場合は右上の「サインイン」をクリックすると、
▼このようにサンプルの Loop ワークスペースが表示されます
この「はじめに」というワークスペースは使い方の説明を書いてくれたり、利用用途のヒントも書いてくれているのでザっと読んでおくと良いですね。
このように事情あってストアアプリを入れられない人はブラウザー版を利用しても良いですね。
Microsoft 365 と一言で言っても様々なライセンス体系があります。その中でも Microsoft Loop を利用できるのは以下のライセンスであると冒頭に紹介した Microsoft からのアナウンスに記載があります。
Microsoft 365 Business Standard
Microsoft 365 Business Premium
Microsoft 365 E3
Microsoft 365 E5
最近この組み合わせが多いですね。 Office 365 系のライセンスは大抵対象外になっている気がします。自分に割り当てられているライセンスがわからない場合は以下の記事を参考に確認してみてください。
以下は管理者向けの記事なので小難しい内容にはなっていますが、この中で Microsoft Loop が利用するストレージに関しても記載されています。
Microsoft Loop’s November 2023 Ignite summary for IT Admins
https://techcommunity.microsoft.com/t5/microsoft-365-blog/microsoft-loop-s-november-2023-ignite-summary-for-it-admins/ba-p/3981045
▼上記記事内から抜粋引用した概要図
う~ん、小難しいですよね。なので詳しく知らなくても良いと思います。
利用者目線でも知っておくと良い事は、まず Microsoft Teams のチャットや Outlook on the web から作成する Loop コンポーネントなどは OneDrive for Business 上に保存されます。また、 Microsoft Teams の非チャネル会議の会議のメモも同じく。
次に一般提供開始された Microsoft Loop アプリ上から作成する Loop ワークスペース以下のデータは、 Syntex Repository Services という場所に保存されるという点。これは開発者向けのサービスなので僕もサッパリわかりませんよ。 Microsoft Loop がパブリックプレビュー開始された直後にデータの保存場所を確認した時には、こんなの知らなかったから「怪しい SharePoint サイトに保存される」って僕は表現していたくらい。なので特にこれは知らなくても良いとは思いますが、ただストレージと言う観点で知っておいた方が良いのは、この概要図でも結局 SharePoint に内包されているという点。つまり SharePoint のストレージを使っているわけです。そして、プレビュー期間中は SharePoint の容量としてカウントされていませんでしたが、一般提供開始されると SharePoint の容量としてカウントされるという点です。これは一般提供に先んじて、 2023/09/29 付けで Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに以下のメッセージが公開されています。
▼(更新済み)ループ ワークスペースは、テナントの記憶域クォータへのカウントを開始します
大事な点は Microsoft Loop アプリから作成できる Loop ワークスペース以下のデータは SharePoint のストレージを消費する点。そしてパブリックプレビュー中は1つの Loop ワークスペースあたり5GBの容量制限があったけど、一般提供開始された段階でその容量制限が1TBになったという点。 Microsoft 365 においてストレージの容量という観点だと OneDrive for Business は1ユーザーあたり大体のライセンスで1TBなので割と多い容量だけど、 SharePoint の方は1テナントあたり「1TB + 10GB × ライセンス数」なので、割と SharePoint の方がテナント当たりの容量を気にしている管理者は多いです。そう考えるとただえさえ SharePoint 単体利用の他に Microsoft Teams のチームの裏側のチームサイトで気にしている上に、 Microsoft Loop のアプリ上から作成する Loop ワークスペース以下のデータも SharePoint の容量に関わってくるとなると気にする人もいるんじゃないかと思います。まぁ、利用者にとってはあまり関係ない話になるかもしれませんが、そういう観点で Microsoft Loop を利用NGにする会社もありそうだし、1TB という容量制限をグッと引き下げてくる可能性はあるかもしれませんね。
最後に概要図を見ると、 Microsoft Teams のチャネルで作成した Loop コンポーネントやチャネル会議の会議のメモは SharePoint に保存される事も記載されています。これは現時点ではまだアップデートされていませんが、そのようなアップデートがあるというアナウンスはされていました。ここから作成される Loop コンポーネントに関しては、 OneDrive for Business でもなく、 Syntex Repository Services でもなく、 Microsoft Teams のチームの裏側にある SharePoint のチームサイトに保存されるようです。
という事で、データの保存先には気を付けるべき点もありそうですが、まずは Microsoft Loop の一般提供が開始されたという事で、色々と使ってみましょう。今後はここに Copilot がドンドン関わってくるという話なので、そちらも楽しみです。
歴史を紐解こうとすると自分のブログが役立ちます。そこだけは自画自賛。興味のある方だけ以下も読んでみてください。
まず Microsoft Loop が発表されたのが 2021年11月に開催された Microsoft Ignite 2021 です。その後すぐに Microsoft Loop の3つの要素のうちの Loop コンポーネントが Microsoft Teams のチャット上から利用できるようになりました。当時は「ライブ コンポーネント」という名前でした。展開当初から「すぐに Loop コンポーネントって名前に変更するよ」ってアナウンスもあって、なんでそんなややこしいんだろう?最初から Loop コンポーネントという名前じゃダメなのか?と思いましたが、これは邪推ですが、もしかしたら「 Microsoft Loop 」という名前自体がまだ正式決定じゃなかったのかもしれませんね。他の会社から訴訟起こされて名前を変更せざるをえなくなるのって OneDrive や Dataverse あたりもそうだったので。あ、脱線しましたが、とにかく Loop コンポーネントとしてスモールスタートされてからはもう2年経過しているんですよね。
そこからはアナウンス通り、翌年2022年2月には「ライブコンポーネント」から「 Loop コンポーネント」に変更されたり、2024年4月にはブラウザー版 Microsoft Teams のチャットでも Loop コンポーネントが使えるようになったりしましたが、あまり大きなアップデートはなく、結局 Loop コンポーネント 以外の Loop ページや Loop ワークスペースはいつ利用できるの?という感じでした。
2022年7月には Outlook on the web からも Loop コンポーネントが作れるようになったけど、標準リリース環境にアップデートが展開されるにはだいぶ時間がかかったというか、僕の怪しい記憶だけどつい最近まで使えなかった気がします。今確認したら標準リリース環境でも使えるようになっていたので、下手したら Microsoft Loop の一般提供開始と同時期だったのかも?不明ですが。
更に半年後の2023年3月には Microsoft Whiteboard のボード上に Loop コンポーネントが貼り付けられるようになりました。
この記事の冒頭でも書いてあるけど、2021年秋に発表されたにも関わらず進化というかそもそもアナウンスの通りに使えるようになるのに非常に時間がかかっている感じがしました。 Loop ページも Loop ワークスペースも使えないし、色々なところに Loop コンポーネントを貼り付けられるようになると言っておきながら、結局 Microsoft Teams のチャット(チャネルはダメ)と、 Outlook のメールと、 Microsoft Whiteboard に貼り付け(ここから作成はできない)、あと記事にし忘れていたけど Word for the web も。でもその程度。そもそも Loop コンポーネントの使いどころもピンとこない人も多いまま、たぶん認知度も低くてあまり使われていなかったんじゃないかと思います。
そして2023年3月後半、ようやく Microsoft Loop アプリのパブリックプレビューが開始されました。アプリからじゃないと Loop ワークスペースや Loop ページは利用できなかったので、ようやくでした。発表から約1年半でパブリックプレビューですよ。
実際使ってみても利用シーンがなかなか思い浮かばなかったり…。あとは当時はまだよくわかっていなくて、 Microsoft Loop アプリから作成したデータの保存場所が謎の SharePoint サイトっぽくて何コレ?状態でした。Syntex Repository Services ってのに保存されるって事だけど、そもそもそんなの知らないので、なんか色々不安だった気がします。
パブリックプレビューが開始されれば、後は一般提供開始を待つのみですが、この間に徐々に Microsoft Loop が本気を見せ始めてきて、 Microsoft Teams の会議のメモが Wiki ベースから Loop コンポーネントに置き換わったのが 2023年8月。
ただし、一般提供開始のアナウンスがなかなか出なくて…。さすがに発表そしてコンポーネント利用開始から2年経ってまだ一般提供されないのは遅すぎなので、僕の予想では Ignite 2023 を機に一般提供開始、もしくは年内に一般提供開始のアナウンスが出るだろうと思っていました。大型イベントに合わせて一般提供開始されるのは珍しくはないので。
と思ったら、案の定というかようやく Ignite 2023 に合わせて一般提供開始されたというわけです。発表から2年で一般提供開始でした。そう考えると Copilot 関連は発表から一般提供開始の期間が早くて、 Microsoft の Copilot にかける意気込みを感じますね。