Microsoft Teams : Viva Engage のストーリーラインが統合された

■前置き(長いので不要な方は飛ばしてください)

「 Microsoft Teams があるから Viva Engage (旧 Yammer )はいらない子じゃない?」という話は Microsoft Teams が登場した後からよく聞きます。特に日本企業では Viva Engage の利用率はかなり低いようなのでそう感じそうですが、むしろ Yammer から Viva ファミリーに入って Viva Engage とリネームした後もアップデートもちょいちょいあるので、なくなる事は当分はないと僕は思っています。じゃ「使い分けは?」と聞かれた時も似たような印象の両者ですが全然違いますね。僕は昔からそれを例える時に「 LINE と X ( Facebook )」と言っています。 Microsoft Teams は LINE で、 Viva Engage は X ( Facebook ) に置き換えて考えてみましょう、と。LINEは家族や友人など閉ざされたグループ内での濃いコミュニケーション。 Viva Engage は X ( Facebook )で、基本はオープンだから投稿したら広く見られるので緩いコミュニケーション。なので後者の方は自分の交友関係(仕事なら部門など組織)を越えたコミュニケーションも可能。そう考えるとLINEのアクティブユーザー数は非常に多いけど、XやFacebookはアクティブユーザー数はLINEのそれには遥かに及ばない実態も似ています。また「日本人は」という言い方をすべきかわかりませんがあえて言うと、日本人は社内で目立ちたくない(悪目立ちする感覚)ので社内で広く発信する文化が根付きにくい上に、その投稿が上司や経営層にも見られると思うと確実に使わないでしょうね。ただ僕の経験上、グローバル企業に属していた頃は Viva Engage はかなり利用されていました。日本オフィスのメンバーを除いて。また色々な企業に話を聞くと Viva Engage が活用されている企業は大企業が多い印象です。というのも全従業員数を考えると利用率が2%と低いとしても、100名の企業なら2名なので過疎っている印象ですが、10,000名の企業なら200名なので普通にコミュニティとして成り立つし賑わっている印象になります。同じ利用率でも企業規模によって違うんです。するとたった2名だと徐々にその2名もモチベーションが低下しますが、200名も集まれば利活用が維持されやすいでしょう。(もちろん母数が多いは多いで別の課題が出ますが)。そして Viva Engage の利活用が盛んな企業に聞くと必ず「猫と犬のコミュニティがあります」という声を聞きます。僕はどちらも飼っていないのでわかりませんが、猫や犬は間違いないようです。
ただ、 Microsoft としては Viva Engage は、経営層など組織のリーダーが従業員と直接コミュニケーションを取れる場、経営層やリーダーが発信できる場、という位置付けでもあります。たしかに以前属していたグローバル企業でもCレベルの人達からの発信が Viva Engage 上で盛んだったし、それに対して従業員がリアクションやコメントをよくしていました。これも日本企業にはなかなか馴染みのない世界観かとは思いますが、そのような繋がりが従業員エンゲージメントを高める手段の1つでもあるようです。

■本題

と、まずは Viva Engage と Microsoft Teams の違いなどを前置きで説明した上で、今回は Viva Engage のストーリーラインが Microsoft Teams に統合されたというアップデートです。いや、僕が観測している限りは Microsoft Teams にストーリーラインという新機能が登場したと勘違いしている人も少なくないです。またXを観測する限りだとこの統合にはネガティブな印象を持つ人も多いですね。それは前置きで語った点も大きく関わっていると思います。

2024/12/31 付け(大晦日だったのか!)で Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに、以下のメッセージが公開されました。

▼ (更新済み)Microsoft Teams: Viva Engage のストーリーラインが Teams に統合されます

冒頭の概要にも最初に「リーダーが組織や従業員と直接コミュニケーションを取り、…」という Viva Engage の紹介がされていますね。更に読むと従業員のコミュニケーションする場所が散らばっている事が従業員にとってマイナス要素が多いために、コミュニケーションを取るという大枠では類似している Microsoft Teams に Viva Engage を近づける狙いがあり、その第一歩がストーリーラインの統合だそうです。ストーリーラインとは?については以下の過去記事を参照ください。

Yammer / Viva Engage :ストーリーラインが一般展開されはじめました

で、アップデートのタイムラインを見ると一般提供は3月下旬~4月上旬になっていますが、実際はちょっと怪しいです。というのも実は最近会社で急に Viva Engage に「テスト」とか試しに投稿してみたポストが散見されはじめたんです。同時にSNSで観測しても「急にストーリーラインの案内が」「よけいなことするな」的なポストも見かけました。なので僕もそこまでマメに観測していないので真相はわかりませんが、アップデート自体はタイムラインの通りに行われたかもしれない、しかしユーザーに案内のダイアログボックスを表示させたのは最近という説。もしくはアップデートも含めて実は遅れていて最近展開されはじめて同時にダイアログボックスの案内も表示された説。どちらが正しいかはわかりませんが、一つ正しいのはユーザーに案内のダイアログボックスが最近表示されるようになったという事ですね。なので、これまで上のような経緯もあり Viva Engage をあまり使ってもらいたくなくてあえて広めていないような企業も少なくはないでしょう。そういう環境の場合、今回のダイアログボックスでの案内はある意味ありがた迷惑であって、全く使われていない・全く案内していない環境のユーザーにとっては、 Microsoft Teams の機能追加だと思ってしまうでしょうね。そしてちょうど今日が火曜日なので火曜日の夜から水曜日の朝あたりに Viva Engage のアクティビティのメールが広範囲(テナント全ユーザー?)に送信されるので、「テスト」などの内容のないポストがもしかしたらアクティビティメールで広まって「なんじゃこりゃ!?」祭りになるかもしれませんね。

▼ Microsoft Teams にストーリーラインの紹介をするダイアログボックス

とにかくこれを読む限りだと Microsoft Teams の新機能だと思っちゃいますよね。

▼更にストーリーラインに投稿を促すボックスまで丁寧に

そりゃなんだかわからないけど試しに投稿もしてみたくもなりますよね。

では、ここからどのように統合されたのかを確認していきます。

■自分のストーリーライン

Microsoft Teams には自分用チャットがありますよね。

▼自分用チャットの「ストーリーライン」タブ

このように「自分の名前(あなた)」という自分専用チャットを開くと上部に「ストーリーライン」というタブがあり、それを開くと Viva Engage の自分のストーリーラインが表示されます。自分のポストを確認できるし、投稿もできます。

今までは Microsoft Teams に Viva Engage アプリを入れる事で、 Microsoft Teams 内で Viva Engage を利用する事ができていました。

▼ Microsoft Teams の Viva Engage アプリ

でもこれは自発的にアプリを入れた上で、ただ Microsoft Teams の中で Viva Engage が表示されて使えるようになっただけです。それでも僕は便利に使っていましたけどね。それが今回は、自分のストーリーラインに投稿したい場合や自分のストーリーラインの確認は自分専用チャットから確認できるようになりました。

また、先日案内したチャットとチーム(チャネル)のUIの統合で「チャット」を開いたら、

▼こんなところからもストーリーラインへ投稿する導線が

■自分以外のユーザーのストーリーライン

まず最初にグループチャットにはストーリーラインタブは表示されません。

▼グループチャットにはストーリーラインは表示されない

個人チャットの場合のみです。

▼個人チャットの「ストーリーライン」タブ

このように相手のストーリーラインが表示され、その人の Viva Engage の投稿が表示されます。もちろんそこからリアクションもコメントもできます。フォローもできます。

つまり今回のアップデートは人が軸になっていますね。例えば誰かと個人チャットをした時に「この人はどんな発信をしているんだろう?」「普段どういう事を考えているんだろう?」「どのようなスキルや情報を持っているんだろう?」あたりが知りたい場合は、ストーリーラインタブを開くと良いですね(あ、もちろん企業内で Viva Engage の利活用が進んでいる前提です)。特にあまり関りがない人にチャットを送らなきゃいけない場合は、先にストーリーラインを確認すると、知らない人だけど少しは垣間見る事もできそうですね。

■通知

フォローしているユーザーがストーリーラインに投稿すると、通知が飛びアクティビティに表示されるようです。

▼怒り ます代さんを未フォロー状態

この状態ではこのようにストーリーラインにそのユーザーがポストしても特に何も起きません。

▼フォローしました

このあと、怒り ます代さんがポストします。

▼するとこのように通知が飛び、アクティビティに①が

▼アクティビティから確認するとポストが表示されます

ここからはリアクションはできるけどコメントを書き込む事はできないようです。相手のストーリーラインに移動しなければいけないようです。

この通知は雑音に思える人もいると思いますが、そういう場合は Microsoft Teams の設定の「通知とアクティビティ」を開きましょう。

▼通知とアクティビティ

このようにストーリーラインの通知自体をオンオフする事もできるし、オンにしても細かく設定ができるので、自分の状況に合った通知・アクティビティのチューニングをしましょう。

という事で、これまた賛否両論あるストーリーラインの統合のアップデートでした。特に Viva Engage は使っていない企業が多いので、これを機に使われるようになるのか?それとも嫌われてしまうのか?はたまた管理者が使えなく設定変更するのか?

僕個人的には歓迎すべきアップデートですけどね。そして Viva Engage の扱いが今後どうなるのか気になるところです。元々 Yammer だったものが Microsoft に買収され Microsoft 365 (当時 Office 365 )に加わり、そしてコロナ禍後に Viva Engage と名前を変えて Microsoft Viva ファミリーになりました。しかし最近はモバイルアプリのアプリ表示名を Viva Engage から Engage に変えるというアップデートのアナウンスもあったり、もしかして Viva ファミリーから抜ける?とか憶測してしまったりもします。そして Microsoft Teams とのストーリーラインの統合。しかもこれは第一歩だとメッセージに記載されています。さてさて、どうなることやら。

TAICHI