さぁ、ややこしくなってきていますよ！つい2日前にこういう記事を書きました。
ここでは Microsoft 365 ユーザーなら全員が表示される「 Microsoft 365 アプリが Microsoft 365 Copilot アプリに変わる」という内容の謎のメッセージについて僕なりの説明をした記事になりますが、この中ではその変更と時を同じくしてプロダクト名が Microsoft Copilot から Microsoft 365 Copilot Chat に変わるという話も書いています。
これは元々最初は Bing Chat Enterprise という名前で登場したアレです。 Microsoft 365 のライセンスのみでも利用できるチャットベースの生成AIである Microsoft Copilot です。 Webグラウンディングしかできないけどデータ保護されているのでAIが学習にも利用しないので、安心して商用でも利用できますよってヤツです。それから名前が Copilot に変わったけど無償版の旧 Bing Chat と同じ名前なのでややこしいから、「商用データ保護版 Copilot 」なんて呼ばれていたりして、更にそれから「エンタープライズデータ保護版 Copilot 」なんて呼んだりわけがわからなく、上の記事内にもちょい触れていますが「 Microsoft Copilot (for users with Entra Account) 」なんて書き方がされていたり…もうカオス。そのカオスなヤツが「 Microsoft 365 Copilot Chat 」という名前に変わりますという話です。もしかしたら日本では「 Microsoft 365 Copilot チャット 」なんて記載になるかもしれませんけどね。
そしてこれも上で紹介した記事内でも書いているけど、そもそもこれら一連の名称・アイコン変更の意図をザックリ言えば、このカオスな名称変更の変遷を持っている旧 Bing Chat Enterprise の認知と利用率を上げていきたいようです。 Microsoft 365 ユーザーであれば追加ライセンスなしでも利用できるのにおそらくあまり使われていなかったんじゃないかと思います。でもそれはこのカオスな名前の変遷と、無償版との違いが認知されにくかったのと、利用までの導線が貧弱だったところにあると思います。だからこそ、利用までの導線に関しては過去に記事にしましたが、以前に比べて認知されやすい導線になりました。
これも今回の名称変更も意図としては同じですね。
そして今朝起きてSNSを確認したら、夜中に Microsoft 界隈からの投稿が非常に多く Microsoft 365 Copilot Chat のアナウンス祭になっていました（日本とアメリカの Microsoft 本社のあるレドモンドでは時差が17時間日本が進んでいるので、 Microsoft としての発表は1月15日付けですね）。 SharePoint といえばおなじみのジェフさん、 Microsoft 365 といえばおなじみのスパタロウさん、そして Microsoft のCEOのサティアさんまでアナウンスしてるんですよね。え？名称変更でそんなにお祭り騒ぎするの？って不思議に思いながら色々リリースされた内容を読みました。下にその記事のリンクを置いておきます。
Copilot for all: Introducing Microsoft 365 Copilot Chat
https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365/blog/2025/01/15/copilot-for-all-introducing-microsoft-365-copilot-chat/
スパ太郎さんの名前で出している記事です。概ねこの記事を読めば全容はつかめると思います。ここでまず気になったのは冒頭の部分。 Microsoft 365 Copilot Chat に名称変更しました！という言い方はしていません。「新しいサービス」って書かれています。
▼該当箇所から引用（日本語訳も含む）
既存のチャットに従量課金制エージェントを追加した新しいサービス。もちろん名称変更でもあるんだけど。ということで冒頭で書いてあるこの「従量課金制エージェント」を追加して既存サービスを新しいサービスだとアナウンス祭をしているので、従量課金制エージェントが一番アピールポイントだとは思いますが、 Microsoft 365 Copilot Chat には以下のものが含まれているとまとめて記載されている箇所があります。
▼該当箇所から引用
太字のみでシンプルに表現するなら「無料で安全なAIチャット」「エージェント」「ITコントロール」ですね。
逆に詳細は？というと、わかりやすい表が記載されていました。
▼ Microsoft 365 Copilot Chat と Microsoft 365 Copilot の機能比較表から引用
あまり細かくはここでは書きませんが、カテゴリごとに見ると「Chat」の部分では「 Copilot Pages 」が Microsoft 365 Copilot ライセンスがなくても利用できる点もありますね。当ブログではウッカリ記事にし忘れていましたが、 Microsoft 365 のみのユーザーでも数か月前から使えるようになっていましたね。そして「Agents」はほとんど使えるよと。ただし Microsoft 365 ライセンスのみの場合は従量課金制のエージェントですね。「 Personal assistant 」はライセンスの Microsoft 365 Copilot の大事な部分なので Microsoft 365 Copilot のみ。そして「 Copilot Control System 」については既存のエンタープライズデータ保護などもありつつ、エージェントの管理もできますよという感じですね。
それ以降の文章は、各カテゴリを詳細に文章で記載した内容だったのでここでは省きますので皆さん記事を読んでみてください。 YouTube の動画も合わせて確認しておくと良いでしょう。特に「エージェント」です。去年あたりから生成AIでエージェントという言葉が出回ってきて、 Microsoft も色々な発表で Agent という言葉が飛び出してきました。ただ利用者としてはそこまで生成AIのトレンドを専門家のように追いかけているわけじゃないので、何それ？という感じですよね。僕もそうです。この動画の中ではスパ太郎さんがエージェントの部分に関しても、実際にデモをしながらどういう事ができて、どういうメリットがあるのかもわかるようになっています。字幕を日本語にすれば内容はある程度分かると思うので、是非視聴してみましょう。
今回の Microsoft 365 Copilot Chat アナウンス祭は、紹介したブログでもその中の動画でも一貫して以下のような流れを感じます。
このような流れで、紹介した記事内でのスパ太郎さんの冒頭の文章の通り、「すべての従業員に Copilot を提供し、エージェントによってビジネスプロセスを変革する」という Microsoft の目標の実現に向けた取り組みでもあり、なおかつ段階を徐々に経て最終的には Microsoft 365 Copilot のライセンスの導入を増やしていくという戦略でもあると感じます。いずれにせよ、折角 Microsoft 365 ユーザーなら追加費用なく安心安全にチャットベースの生成AIが利用できる Microsoft Copilot があるのに、認知度も低く（僕の肌感でも低いと感じる）あまり利用されていなかった（のではないか）事もあったので、これを機にそれが解消されると良いなと思います。
また、 Microsoft 365 Copilot ライセンスもあるユーザーの場合、全体で考えるとチャットは一つの機能に過ぎないですよね。僕はむしろそれ以外の部分が重要だと思っています。プロンプトとか難しい事を意識せずとも色々なアプリの色々なところに Copilot ボタンがあって、ボタンを押すだけである程度の目的を達成してくれる機能群。そう考えると Microsoft Copilot が Microsoft 365 Copilot Chat と名称変更される事で、より「チャットはチャットだよね」という認識ができるんじゃないかと。そしてチャット以上に便利になれるのが Microsoft 365 Copilot ライセンスが追加された世界。そういう認識でも Chat という言葉が追加されたのは歓迎します。
ただ、名称変更という観点ではややこしいのが「 Microsoft 365 Copilot 」という名称です。今回の名称変更でこの名称には2つの意味が出てきました。これは冒頭に紹介した2日前に書いた記事内でも言及していますが、アプリとしての Microsoft 365 Copilot と、ライセンスとしての Microsoft 365 Copilot です。これが会話の中で混同してしまうと大きな認識齟齬になってしまいそうです。例えば上の方でも引用した機能比較表を再度見てみます。
▼ Microsoft 365 Copilot Chat と Microsoft 365 Copilot の機能比較表を再び引用
この右の列の上部の「 Microsoft 365 Copilot 」はライセンスとしての意味ですよね。でもアプリとしての名称と認識してしまった場合、 Microsoft 365 Copilot アプリで全部の機能が使えるの？って勘違いしてしまいかねません。これは非常にややこしいと僕は思いますがいかがでしょうか？
