多くの人にとって待望だった機能が展開されはじめましたね。これまでの背景と、実際試してみたことと、注意点あたりを書きます。
本ブログなどで僕が Microsoft Teams についてアウトプットする時にしつこく説明しているのが、いわゆる一般的な「チャットをする」という時に Microsoft Teams においては「チームのチャネルの会話」と「チャット」の2種類ある話をしています。この2種類には色々な違いがあるので両者の特性を把握する事により使い分けを明確にしておいた方が後々の事を考えると絶対に良いです。その一つに、スレッド型か否かの違いは大きく、チャネルの会話はスレッド型なのでトピックごとにスレッドを作れば整理しやすくトピックごとに時系列で会話を追いやすいです。一方チャットの方は非スレッド型なので複数の話題が同時進行で行われると把握しづらいし特定のトピックで時系列で会話を追いにくいです。今回はその「チャット」の方だけど、過去のメッセージを返信したい場合、「このメッセージの返信です」を明示する事ができなく、「〇〇についてですが…」みたいに過去のメッセージから特定させる必要がありました。ただし、特定条件下では引用返信ができるんですよね。それがモバイルアプリから引用返信ができる事と、個人用 Teams では引用返信ができるという事でした。
上で紹介してる1つ目の記事は本ブログ内でも常にPVランキング上位なので、チャットで返信をしたいユーザーが多い事を物語っています。ただし何故かモバイルアプリからしか返信できなかったので不便に思っていた人も多いでしょう。そして2つ目の記事のように、不思議と 個人用 Teams においてはPCからも引用返信ができるので、つまり「仕事用の Microsoft Teams でチャットの返信がPCからできないのは Microsoft 側の何らかの意図があるのでは?」なんて憶測もしていたくらいです。
そんな僕の憶測も虚しく、20201年9月18日付けで Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに以下のメッセージが公開されました。
▼チーム デスクトップで特定のチャット メッセージに返信する
これはだいぶ前から実装されるとは聞いていたけど、デスクトップアプリからチャットの返信ができるようになるという事です。僕の環境に今朝展開されている事を確認したので試します。
PCでデスクトップアプリで Microsoft Teams を開きます。
▼「チャット」です
返信したいメッセージ右上の「…」をクリックしてメニューを開くと、
▼「返信」が!
今までこれがメニューになかったんですよね。クリックすると、
▼ 下のメッセージ入力欄に引用されます
▼引用した形で下に返信メッセージを入力して送信すると、
▼このようなメッセージが送信され、
▼他のユーザーにはこのように見えます
これまでのモバイルアプリからの返信と同様に引用返信ができます。
まずこのように「引用返信」であるという仕様です。チャネルの会話のようにスレッド型になるわけじゃないので1つのメッセージを明示的に返信する事はできるけど、トピックごとにやりとりを追うような事はできません。(あまり使っていないので間違えていたら申し訳ないけど)LINE のリプライと同じかと思います。なのでチャットで返信できるようになったからとはいえ、「チャネルの会話」と「チャット」の使い分けに大きく影響は出ない、つまり相変わらずそれぞれの特性を意識して使い分ける必要がある事は変わらないと思います。
▼添付ファイルされているメッセージを返信すると、
▼このように引用返信できます
ただし、引用内の添付ファイルのリンクはありません。そして引用返信から引用元メッセージのリンクもありません(モバイルアプリのように引用部分をクリックすると引用元メッセージに飛べる機能があると良いんだけどPCのデスクトップアプリは今のところありません)。なので、返信元にある添付ファイルをチェックしたい場合は、別途返信元のメッセージを探すか、チャットのファイルタブ内から添付ファイルを探す必要はあります。
ブラウザーで Microsoft Teams を開き、同じアカウントで同じチャットのメッセージのメニューを開いても、
▼「返信」はありません
ブラウザーから利用している人は使えません。
▼返信したメッセージを再度返信しても、
▼返信の返信(引用元の更に引用元)は引用されません
つまり、やはりチャット内で複数トピックが錯綜している状態では、特定のトピックで時系列で追う事は厳しいです。
という事で、僕としては「あくまでも特定メッセージへの返信」という用途で用いるもので、特に返信機能が追加された事で「チャット」が「チャネルの会話」の代わりになれるとは思いません。
特にグループチャットに関しては気軽に利用できます。チャネルの会話を始めるにはチームを作成しなきゃいけませんが、実はユーザーにとってそれが一つの壁になったりします。ユーザーの皆さんは本ブログや僕の YouTube などでも、これまで「チャット」の仕様や特性や起きがちなトラブルの話をしてきました。チームを作成するひと手間があっても用途によってはチャットではふさわしくない場合もあるのでお気を付けください。
また企業のIT部門の方は、よく Microsoft Teams の運用課題に挙げられる「チーム乱立」というキーワード。特にIT部門からしたら気持ちはわからなくもないけど、チーム乱立という課題に捕えられてしまい視野が狭くなり、安易に「チーム作成を申請制に」という解決方法をとってしまうと、返って後々別の課題が出てきたりユーザーの利活用減退にもつながってしまいかねません。ユーザーがシャドーITに走るかもしれません。実際に厳しい運用方法をとっている企業のユーザーからの不満や代替として良くないとわかっていてもグループチャットを多用しがちという声も聞きます。時にはユーザーの声に耳を傾け、全体のバランスを考えて運用方法は検討し、場合によっては試行錯誤していく必要があると思います。
と、最後は大きな話をしてしまいましたが、チャットの返信機能自体は便利に使いましょう。