第4回 Home 365 祭 :初めてオンラインイベントを1人で運営してみた色々

僕が主催するユーザーコミュニティのグループ「 Home 365 」のイベント、「 Home 365 祭 」の第4回目が先日9/5に開催されました。

オンラインだよ! 第4回 Home 365 祭
https://h365ug.connpass.com/event/185771/

このオンラインイベントを1人で運営してみたんだけど、僕のこだわりや変化やオンラインイベントの試行錯誤を書いてみたいと思います。自分への備忘録の色合いが濃いので長文です。

■オフラインのこだわり→変化

Microsoft 365 や Power Platform などを個人・家庭利用で楽しむ、というマニアックな主旨のグループなので、これまでの3回はだいたい30名申し込みがあって当日20名前後という感じでした。オフラインのイベントでは(受付係などの協力者を除けば)1人で運営していたんだけど、1人運営ではちょうど良いサイズでした。で、一つ漠然としたこだわりがあって、それが「オフラインにこだわりたい」という思いでした。第3回が2019年8月開催で、色々忙しくて次の開催が延びてしまったところにコロナ禍となり、世の中のイベントがオフラインからオンラインにこぞって変化していった中、僕はまだオフラインのこだわりを捨てきれず、「終息したら次をやろう」と思っていたいました。ただ、もう前回開催から1年経過しそうに…。そして、コロナ禍も今後どうなるかわからないしずっと待ってもいられないという事で、意を決してこだわりを捨ててオンライン開催に踏み切ったという経緯があります。
ただ、考えを変えてもこだわりを持ち「参加者限定イベントにする」「録画を公開しない」という点。つまり参加する事に意義がある!という点を大事にしたいなと。あくまでも僕のこのグループに対する考えだけど。

■運営について(準備は最低限)

僕も家族がいて仕事がある身。コミュニティ活動にも限界があります。なので自分の首を絞めないように最低限の準備でやりたいなと思いました。「運営メンバー増やせば?」って思うじゃないですか。でも運営メンバーを増やすという事は、そのメンバーの想いも汲み取らなくてはいけなくなると思うんです。僕は Home 365 がコミュニティ活動の根幹にあるので、自分のワガママで自由にやりたいんです。なのでなるべく1人で運営をして、その主旨に賛同してくれる方々が、祭に参加してくれればイイなと思っているので、あえて1人運営でがんばっています。という事で準備は最低限に。

■オンラインイベントの良いところは会場の手配が不要

オフラインイベントだと会場の手配が大変です。大体は勝手知ったる日本マイクロソフト社のセミナールームを利用させてもらうんだけど、人気で3か月前くらいじゃないと予約取れなかったりします。後でちょっと変更したいとか厳しいです。思えば、 第3回 Home 365 祭 も2か月前くらいに日程決めて問い合わせたらもう埋まっていて、仕方なく某弊社の会議室を利用したけど、その時も色々あって大変だったなぁ…と。とにかく会場の手配が大変だけど、オンラインイベントなら心配なしですね。

■オンラインイベントを実現させるための手段の検討

オンラインイベントを実現させる方法はたくさんありますが、そこはやはり Home 365 なので、 Microsoft Teams を利用したいな、と。自分が使い慣れてるからという理由もあります。で、 Microsoft Teams なら「オンラインイベント」か「会議」があると思います。僕は迷わず「会議」を選びました。理由は「オンラインイベントに慣れていない」から。慣れたいという思いはあるけど、今じゃないと思って。

■ Microsoft Teams のオンライン会議をイベントで利用する時の気付きや設定

まず最初に得た知見は「オンライン会議は主催者1名だけでは会議を作成できない」という点。 Microsoft Teams のオンライン会議もいくつか種類と言うか方法があるけど、チャネルに紐づけない会議を作成する場合は、最低1名は出席者を追加しないと会議ではなく単なる予定として登録されるだけなんですよね。そもそも普通の使い方で1人会議なんて作らないから知りませんでした。今回は参加者を会議に招待せずに、URLを参加者にメールで送信して、URLから参加してもらう事にしたので。
次に会議オプションをどうしようか?という点。

▼こんな設定にしました

ロビーをバイパスするユーザーは全員です。これは1人運営(司会も登壇も)なのでイチイチ許可していられないから。また、性善説?に基づいて、祭に参加してくれる人たちに悪い人はいないと思うので、メールで限定的にURLを配ったけど、そこから悪意を持って拡散させる事はないと信じて。また発表者を「自分のみ」に設定しました。これは特に大事な事ではないけど、登壇者にのみ手動で「発表者」のロールを渡そうと思って。

■登壇者のリハーサルは大事

Microsoft Teams のライブイベントじゃなくオンライン会議という事で Microsoft 系のコミュニティという事もあり、登壇者全員 Microsoft Teams には慣れていると考えると、リハーサルはしなくても良いかもしれないけど、とはいえ当日トラブると進行に影響があり、スケジュールもギリギリに組んでるので、しっかりやりたいなと。
リハーサルは2回設定し、登壇者にどちらかを選択してもらいました。具体的には前日の夜と当日の午前中。ダラダラやらずに諸注意と各自リハ。画面共有とマイクのチェックが最低限。場合によっては全スライドを開いてザックリ説明してもらう時もあります。登壇者がイベントの主旨と合致しているか不安だったりする場合はこちらで確認して安心してもらうために。

■場合によっては登壇者に登壇スライドを事前提出してもらうと良いかも

今回はやらなかったけど、 Microsoft 365 系のイベントなら登壇者も Microsoft 365 のアカウントを何かしら持っているので、事前に Microsoft Teams でチームを作成して、ゲストで招待し、事前のやりとりや登壇スライドの提出はチームの中で行ったりしますね。登壇スライドの提出は保険です。当日トラブルで共有ができない時に、登壇者は最悪スマホでしゃべってもらって、運営メンバーがスライドを共有すればなんとかなるという事です。今回はやらなかったけど場合によってはやったほうが良いかも。

■体調管理が大事なのはオフライン・オンライン同じ

必要最低限の準備とはいえ、大変は大変です。体調は万全な状態に越したことはないです。幸い、自宅から運営もできるので、最悪布団の中からノートPCでやる事もできるし、なんならトイレに籠ってトイレから運営する事もできるでしょうが…やはり体調を整えておくことも大事ですね。

■仕事は空気を読んでくれない

コミュニティ活動は(例外はあれど)あくまでも趣味の範囲。趣味って心身ともに余裕がないとなかなかできないですよね。つまり仕事が超絶多忙ではできないです。それでコミュニティ活動から遠ざかってしまう人もいるし。で、心身ともに余裕があるからとイベント運営を計画するじゃないですか。でも仕事は空気を読んでくれないので、イベント前に仕事が突然忙しくなる事もあります。だからこそ、運営メンバーが複数人いる場合は協力し合わなければいけないし、今回みたいに1人でやる場合は上述の通り準備を必要最低限にするなど不測の事態に備えたいところですね。

■開催前

Microsoft Teams のライブイベントと違い会議は参加者が全員マイクをオンにすれば話せます。和気あいあいとやる場合は開始前に雑談する雰囲気で良いけど、コミュニティの主旨と反するような発言なども心配事としてはあるので、難しいところですね。今回、開始の30分前から会議を開いていたんだけど、僕は15分前に入室しました。すでに10人以上いてビックリ!これは反省です。運営メンバーの最低1人は開始と同時にいた方が良いですね。今回は和気あいあいと話してもらっていたので大丈夫でしたけど。

■開催前にイベント前の盛り上げ感を出すには

よく大きなオンラインイベントだと、開催前に入室すると動画が流れていたりBGMが流れていたりしますよね。カウントダウンなんかもあったり。そういうのができないか?と思って、開催前にイベントタイトルや諸注意やイベントハッシュタグなどを案内する PowerPoint のスライドを作成しました。数枚のスライドを自動送りさせる感じです。また、画面共有時に「コンピューター サウンドを含む」の設定もして、PC内で軽くBGMを流してみました。

まず PowerPoint のスライドですが、あのスライドの自動送りは、プレゼンテーションモードにした後に PowerPoint 以外のアプリを触ると自動送りされなくなるという仕様に気が付きました…。つまり、スライドを共有して自動送りさせたい間はPCの操作はできないわけです。他の準備ができない。なので、それ専用のPCとアカウントがあると良いのかも。
次にBGMですが、上述の通り、開催前に参加者達がワイワイと話していたんだけど、どうやらBGMをかけていても、誰かがしゃべるとBGMが消えちゃうんです。これたぶん Teams 側が補正して声をクリアーにさせるために加工してるんだと思います。後で別の登壇者が同じくBGMかけて登壇してたけどそっちは登壇者がしゃべってもBGMが消えなかったんですよね。不思議です。おそらくですが、その時はBGMをノイズと認識しなかったから消さなかったんだと思います。僕が開催前にかけていたBGMは僕のオリジナル曲でバリバリのヘビーメタルだったから…ノイズと認識するなんて失礼しちゃう!なのでBGMをかけながらの登壇っていうのはもう少し工夫すればできそうです。

■開催中

上述の通り、会議であればマイクをオンにすれば誰でも話せます。なので開催前のメールなどで「運営メンバーがOKと言うまではマイクは原則オフでお願いします」という注意書きを書いているイベントは多いですよね。今回もそうしました。とはいえ、たまに事故って誰かの生活音が入り込むことも珍しくないのですが(最近はそういうのなくなったかなぁ)、そのために、まず自分が司会をしている時は、何かあったら Microsoft Teams では「 Mute All 」のボタンをいつでも押せるようにしています。自分以外は全員ミュートにするというボタン。

ただ、自分が話してる時は良いけど、別の登壇者が話している時は Mute All ボタンを押すと登壇者のマイクまで奪ってしまうので、結局は目視で個別にマイクがオンになってる人をオフにするという地味な作業が必要です。登壇者も話すので精一杯なのでやはり運営スタッフが目を光らせる必要がありそうですね。今回は事前に協力者にお願いしていました。

■強制退室できる

ないとは思うけど進行を邪魔する悪人がいた場合。「 Remove from meeting 」ってメニューがあって、特定の人を強制退室できるんです。何かあったらこれを使えば良いけど、難点は何度でも再入室できてしまうという点。

そういう場合は面倒だけど、上述の会議オプションの「ロビーをバイパスするユーザー」を厳しく設定する事により、強制退室の後にロビーから許可しなければ良さそうです。できればそんな事をしなきゃいけない事態は避けたいですけどね。

■オンラインイベントは気軽に離席できる

オフラインのイベントでは特に日本人は律義にセッションの最後まで座っていますよね。海外のイベントだと気軽に離席するんですよね。ただオンラインイベントだと周囲に迷惑もかからないので離席しやすいですね。トイレに行きたかったら行けば良いし、飲み物が欲しかったら取りに行けば良いし。その間もセッションを聞き逃したくなければ、スマホに切り替えていけば良いし。そう考えると運営側もそんなに休憩に配慮しなくても良いのかな?と思いました。オフラインイベントだとトイレまでの距離もあるので最低10分は時間を取るけど、今回は5分にしちゃいました。

■Q&A

オフラインイベントでセッション中の内容に質問がある場合は、セッション後にQ&Aの時間を設ければそこでやるけど恥ずかしかったりしてなかなか手が挙がりません。またQ&AのWebサービスを使って受け付ける方法もあります。SNSで登壇者に直接聞く事もできます。オンラインイベントの場合も基本同じですね。マイク、チャット、Q&AのWebサービス、SNSなど、多様な方法です。ただ、運営側が全てを拾うのが大変ですね。拾う専用のスタッフがいた方が無難です。あとはQ&Aって参加者にとってうれしいかどうかという視点で語られる事は多いけど、登壇者にとってどうなのか?という視点で語られる事があまりないように思います。でも僕はそこは結構大事かなと思っています。登壇経験も豊富で知識やスキルもつよつよの方なら質問もドンと来い!だけど、登壇経験も初心者で色々不安ながら登壇にチャレンジする人はそもそも質問される事に恐怖を感じる人もいます。なのでイベント側としてはあらかじめ登壇者にQ&AタイムをOKかNGか聞いてみたり、登壇初心者ウェルカムなイベントの場合はあえてQ&Aタイムを作らないといった事も考えても良いかもしれないです。今回は単に時間がなかったのでQ&Aタイムを設けませんでした。

■あ、挨拶

今回、あえて開始と終了の挨拶の時にマイクをオンにしてもらって「こんにちは」とか「おつかれさまでした」とか全員で一斉に挨拶する場面を作ってみました。もちろんやりたい人だけやって!って感じで。そういうのも大事かなと思って。あまりやりすぎると怪しい宗教っぽいので軽い挨拶で。

■カジュアルに称賛

登壇者には事前準備も含めてしっかり盛り上げてもらったのでガッツリと称賛すると良いですね。登壇して気持ちよくなってもらいたいし次も登壇したいと思ってもらいたいし。同じく参加者にも称賛です。コミュニティの主旨に賛同して参加してくれましたからね。チャットやSNSでも盛り上げてくれたし。全員で称賛しあう事はメリットばかりでデメリットひとつもないですよね。

■とにかく楽しむべし

お金が発生していないコミュニティを趣味のようにやってるんだから、楽しくなきゃやる意味がないので、とにかくまずは運営側が楽しむ事が大事ですね。そこが楽しめばその気持ちは参加者にも伝播するハズ。これは登壇する時も同じ気持ち。楽しく話せばそれは聞き手に伝播すると。苦痛しか感じなかったらやめちゃえばイイだけだと思います。

■最後に家族に感謝

Home 365 だからというわけではなく、イベント開催する準備に平日夜、イベント本番は休日の家族との時間を割いているので、家族に感謝ですね。それはつまり参加してくれた方々の家族にも感謝です。

■達成感

これは僕個人的な気持ちだけど、オンラインイベントって終わった後の達成感が薄いです。余韻に浸れない感じ。イベント終わって会議から退室するとサッと現実に戻り、そこは静かな自宅。オフラインイベントだと終わった後の後片付けも好きだし、打ち上げもお酒飲めないながら楽しいし、そこから駅に向かって話しながら歩くのも好きだし、みんなと別れた後に電車内でSNSでハッシュタグで追うのもイイし、帰宅して程よい疲労感を味わうのも好きです。オンライン飲み会なんてのもあるみたいだけど…やはり僕は古い人間と言われようともオフラインイベントが好きです。いつかコロナ禍が落ち着いた後にも、おそらくこのままイベントはオンラインが主流になりそうな気がします。メリットも多いですからね。でもあえて僕はオフラインにもこだわりたいし、良いとこ取りみたいなことを模索できればいいなと思います。

TAICHI