SharePoint は多機能なので使いこなせば便利ですが、その場合、IT部門やサイト管理者がSharePoint に詳しいだけではダメで、このブログ内では何度も書いていますが、利用者の中でも大半を占める投稿者・閲覧者に対しても、最低限の教育をしなければいけないと思っています。
その中で投稿者が機能を把握していないがために起きたトラブルを紹介します。実際に様々な場面で見かけていますが、投稿者が悪いわけではありません。
■トラブル
「ライブラリにファイルをアップロードしているが、本人以外は表示されない!」
という問い合わせがありました。実際確認したところ、知らずに1年以上合計数十ファイルをアップロードしたが共有できていない事が判明しました。
これは必須の設定をしている列のあるライブラリに起きやすいトラブルです。
実際に検証してみましょう。
▼ライブラリに「コメント」という列があり、必須に設定しています。
▼アップロードする前に必ずプロパティを埋めるよう促されるので問題ありません。※1
▼この場合はファイルはアップロードされ、投稿者以外にもファイルが表示されています。
▼必須列に入力を促す警告もなく、アップロードが完了いたしました。ただし、本人以外のユーザーがアクセスしても該当ファイルは表示されません。
▼このままアップロードし続けるも、結果的に本人以外には共有されていない状態です。
これは、必須列が未入力だとチェックインができない仕様で、チェックインされないと本人以外には表示されない事が原因です。
ビューに直接ファイルをドラッグするとアップロードさせる仕組みはたしか SharePoint 2013 から実装された機能かと思いますが、Windowsのエクスプローラーのように複数ファイルを1度にアップロードできたりして便利なので、この方法でアップロードするユーザーは多いと思います。
リストを作成したサイト管理者が、ファイルをアップロードしたら必ず入力して欲しい意図があり必須と設定した列があったが、直接ドラッグしてファイルをアップロードするとこのような挙動になることまでは把握せず、特に投稿者に意図を説明しませんでした。
チェックアウト状態であるとドキュメントのアイコンの右下に矢印の付くアイコンになりますが、SharePoint をよく知らないユーザーがこれだけでこのトラブルに気がつくとは思えません。
困った事に、チェックアウト状態はサイトコレクションの管理者であっても、本人でなければ表示されないので、この違和感を本人以外が気がつきにくいこともあります。
さて、どうしたらトラブルを避けられるか?
■リスト作成時
■投稿者への教育
■サイト管理者の日常
などなど、複合的にトラブルを避けられる方法がありますが、それぞれの環境に合わせて出来る範囲で回避策を実行すれば良いと思います。
しかし、日本企業にありがちですが、やはりIT部門やサイト管理者などが色々苦労して社員(投稿者・閲覧者)を楽にさせようとするのは、最終的には社員のIT(SharePoint)リテラシーの鈍化につながるので、個人的には好ましくないです。
IT部門やサイト管理者などが開発や管理などで対応する苦労の工数(費用)をかけるなら、その工数を社員の教育に使った方が、将来を考えるとよほど建設的な工数のかけ方かと思いますが、いかがでしょうか。
※1
この状態で「キャンセル」をクリックしたら、チェックインされない状態でアップロードされます。