Microsoft Forms は割と Microsoft 365 の中では人気のあるアプリだと思いますが、なんとなく Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターにアップデートのアナウンスが少ないんですよね。今回のネタもメッセージセンター内のメッセージを探したけど該当するアナウンスはなかったです。そして現時点では僕の環境では標準リリース環境には展開されていないようです。
▼標準リリース環境でフォームの右上「…」メニュー
▼対象指定リリース環境でフォームの右上「…」メニュー
こっちを見た時に違和感を覚えたんです。それが「事前入力済み URL の取得」というメニュー。これ何だろう?そのメニューを読むだけじゃわからなくもないけどピンと来ない。いや、わからない。
▼クリックした先の「事前入力済み URL の取得」
う~ん、なんだか日本語がよくわからないのは僕の読解力の無さですかね…。
▼[i]インフォメーションマークにマウスホバーさせた吹き出し
やっぱよくわかんねぇ~!(笑)とにかく上のトグルをオンにしないと使えないようなので、
▼トグルをオンに
すると設問の選択肢と下の「事前入力されたリンクを取得する」ボタンのグレーアウトが解けて、利用できるようになりました。また、説明文も変わりましたね。相変わらずイマイチよくわからない説明文だけど、なんとなくわかってきた。つまり回答を先に入力した状態にできるという事ですよね。たぶん。
▼選択肢を選べたのでこうやってチェックをした状態で「事前入力されたリンクを取得する」をクリックすると、
▼ボックスが
やはりそのようですね。このリンクをコピーして、別ユーザーでフォームを開いてみます。
▼やはり最初から事前入力で選択した選択肢が選択された状態になっています(←ややこしい日本語)
今回選択肢を例にしましたけど、僕がためしてみたところ、どの種類の設問も事前入力の設定はできます。
じゃ、この状態で通常の回答の送信と収集の方からリンクをコピーして別ユーザーが開いたら?
▼いつものこっちからリンクをコピーしたら?
▼あ、やはりこっちは選択されていない状態でした
上で通常のURLと事前入力済みURLと2種類のURLを取得したので見比べてみました。
▼2つのURLの一部(後ろの方)
上が事前入力済みURLで下が通常のリンクのURL。すると事前入力済みURLの方は「&」以降が付け足されていました。
▼この部分が追加されていた
良く見ると「=」があり、その以下はエンコードされた文字列っぽいのでデコードしてみます。
▼この部分をデコードすると、
▼やはり!
という事でURLに事前入力済みの回答をパラメーターとして持っておいてる感じですね。そして事前入力の設問が増えるほど長くなります。なのでURLが通常より長くなり、残念ながら事前入力済みURLの方は短縮URLの機能がないので長いままですね。
そもそも機能名や説明文を読んで僕がピンと来なかったのは僕の読解力の無さもありますが、そもそも利用シーンが同時にピンと来なかったんで、ありえないという先入観もあったんです。アンケートやクイズって回答者に回答してもらうためのものだと思うので、それが事前に入力済みの設定をするなんてありえないという。なので機能はわかったとして、じゃ利用シーンは?と思って、調べてみました。
ところが、まず現時点では「事前入力済み URL の取得」で検索しても Microsoft のドキュメントは見つけられませんでした。しかし意外なところにヒントがあったんです。 Google Workspace のラーニングセンターでした。 Google にも Forms があり、そちらの方ではすでに事前入力の機能があったらしく、その説明の部分でした。
フォームをカスタマイズするためのヒント – Google Workspace ラーニング センター
https://support.google.com/a/users/answer/13138098
この中の「フォームの回答を事前に入力する」部分です。
▼上記ページより抜粋引用
ここの囲みに利用例があって腑に落ちました。上の例は教育機関向けの例なので、下の例の方がピンと来ますね。例えばマーケティング部門がイベントを主催するとします。イベント内には複数セッションがあります。イベント自体も複数回開催します。そのセッションごとのアンケートをとりたいという場合。アンケートの設問は全て一緒だった場合、今まで考え付く作り方はイベントごとにフォームを作るか、セッションごとにフォームを作ると思います。その場合、フォームが複数個作られるので作成もメンテナンスも集計も大変ですよね。かと言って、1つのフォームで実現させようとすると最初に
あたりの入力項目を設けて回答者に選択してもらわないと、どのイベントのどのセッションかわからなくなりますよね。でもこれを回答者に選択or入力させるのは良くないし回答率も下がるでしょう。また入力の場合は表記ゆれを直すのも大変です。
こういう場合に事前入力済み URL の機能が活きるでしょうね。フォームは全て共通で、セッションごとに開催側で事前にイベント情報やセッション情報を選択or入力済にした状態で事前入力済み URLを作っておけば良いので。
メリットとしてはフォームを集約させる事で作成やメンテナンスや集計の手間が省ける事。
デメリットとしては、上で仕組みを紐解いた際にURLにパラメーターで事前入力項目を指定している方法なので、一度作ったURLを配布した後に事前入力にミスがあったらURLが変わってしまうので、回答者にURL変更のお知らせのお詫びアナウンスをしないといけない点。
思いつく事としてはそのくらいですかね。うまく用途に応じて使ってみると良いかもしれないです。