※いつもの事ですが、あくまでも僕個人の考えです。
昨日、思い切り長文を書いたので、今日は…今日のネタも書こうと思えばいくらでも書けそうな話題ですが、今日のところは問題提起くらいにしておきます。
ITツールの導入において、まず出てくる課題は「利活用促進・定着」かと思います。お金をかけて導入しても使われなければ意味がない。そして「運用課題」ですね。使っていく先に必ず待ち構えてくる様々な運用課題。終わりのない永遠のテーマかと思います。僕もこれまで仕事でもプライベートでも様々な運用課題について考えてきたし、実際に業務で運用課題に取り組んできました。そんな中からいつも思う事があるんです。
運用課題の解像度がボケボケ過ぎていて、課題に対する対策の検討もボヤケているので、なんか雰囲気で決めて検討結果の対策がウ~ン…という感じ。
もっと具体的に例を挙げてみます。
これ実は僕が一番嫌いな運用課題のワードです。もう「嫌い」って言い切ってしまいます(「悪い」と言ってるわけじゃないです)。もし Microsoft 365 関連の営業が来て、たいしてヒアリングもせずに「 Microsoft Teams でチーム乱立にお困りですよね!」みたいな事言われたら僕は真っ先に「チームが乱立して何が困るんですか?」と逆に聞くでしょう。たぶん「えっ?」ってビックリされるでしょうね。そこで論理的かつ納得感ある回答をいただければ信頼できるけど、即答できなかったら僕は絶対に信用しないですね。仮に「社内に持ち帰ってエンジニアに確認します」って言われても信用できないでしょうね。
「チーム乱立」がフワっとしているんです。その先にどんなことが起きるから困るのか?本当に運用課題なのか?という風に、ドンドン解像度を上げていけば課題の本質が明確になります。このフワっとした状態でなんとなく課題だと思ってしまい「じゃチーム乱立を防ぐためにチーム作成を承認申請制にしよう!」という対策をしてしまうと…そもそも Microsoft Teams の利活用促進のブロッカーにもなりえるし、ユーザー側は「じゃ申請の必要がないグループチャットを使おう」ってなったら、別の大きな運用課題が産まれます。しっかりと運用課題は解像度を上げて検討していかないといけないと僕は考えます。
会社によって様々な事情があるので、解像度高くして検討した結果、論理的な根拠に基づいて「チーム乱立を防止しましょう!」となったら、それは良いと思います。僕が嫌いなのは思考停止気味に「チーム乱立は運用課題だ!」→「(なんだかよくわからないけど乱立って言葉悪そうだし)そうですね!」→「チーム作成申請承認制にしましょう!」と、たいした検討もせずに根拠も薄いのに、こういう展開になるのが嫌いだし、そういう展開になりやすいのが「チーム乱立」という運用課題ワードなので嫌いなんです。
これも「野良アプリ」って言うとすぐに「ガバナンス効かせないと!」となりますが、じゃ「野良アプリって何ですか?」って聞くと人によって定義が異なる事はよくあります。運用課題を検討する上で出てくる言葉の定義が検討している人によって違っていれば対策の検討も収集つかなくなりますよね。まずは言葉の定義をしっかり合意しておく必要があると考えます。
野良アプリって何ですか?その結果(仮に)「IT部門が管理できていないアプリ」と定義されたとします。じゃ、その次は、 Power Apps で市民開発者の文脈で利活用促進させるなら、IT部門がすべてのアプリを管理できる体制を整えるのは大変ですよね?っていうか「管理」ってそもそも何ですか?何ができていたら管理できている状態と言えるんですか?利活用促進されどんどん社内でアプリが作られていったら、IT部門がすべてをチェックして統制取るんですか?それ全てIT部門が適正にチェックできるんですか?どういう基準でチェックするんですか?チェックに時間がかかるなら足枷になりませんか?IT部門から野良アプリとして弾かれてしまった人が作りたい要件を満たした Excel で似たようなファイルを作って使われる事は野良アプリとどう違うんですか?
と、特に運用課題①の具体例の方では、チーム乱立が親の仇であるかのごとく攻撃的な言い方をしてしまいましたが(本当に嫌いなんです)、具体的な例を挙げてみました。
このように運用課題に対してフワフワした状態で検討すると対策もフワフワしちゃいます。結果的に「なんか怖いからザックリと利用禁止にしてしまえ」的な対策になり、ユーザーから「何もできないじゃん!使いづらい!」という反応になり、結果的に自由で使いやすいシャドーITに走り、会社として用意したITツールは活用されず費用対効果も得られない上に、運用課題に対策を講じる前よりも危険な状態になりかねません。
本記事はあくまでも僕からの問題提起です。内容に異論反論あって当然です。ITツールの運用課題は永遠のテーマ。目を背けずに腰を据えて向かい合っていきたいですね。